人間ドックや職場検診などの超音波検査(エコー検査)で、胆嚢(たんのう)ポリープを指摘されて心配している方がおられるかもしれません。そこで今日は「胆嚢ポリープ」についてお話ししましょう。
「ポリープ」とは、粘膜にできる盛り上がった病変の総称でキノコ状に突出しています。胃や腸にできるポリープはよく知られていますが、胆嚢にできる胆嚢ポリープも最近増加しているといわれています。成人の5〜10%に発見されていますので決してまれな病気ではありません。それは、検診で超音波検査が普及した事と、食生活の欧米化が関与しているためと考えられています。発症年齢は40〜50歳代で多くなっていて、胆石症は女性に多いのですが胆嚢ポリープでは男女差はありません。またほとんど無症状の事が多いのです。
では、胆嚢ポリープと診断されたらどうしたらよいのでしょうか。胆嚢ポリープの大半は、コレステロールポリープといって、コレステロールエステルという物質が集まって髪の毛より細い茎でキノコ状に突出しています。多発する傾向がありますが怖いがんになる心配はありません。したがって、形や数からコレステロールポリープと確定診断されれば手術する必要はありません。
ただし、大きさが急に大きくならないか経過観察する事が大切です。それは、手術が必要になる胆嚢腫瘍(しゅよう)(がん化の恐れのある良性の腺腫・悪性の早期胆嚢がん)との区別が完全にはつきにくい場合もあるからです。一般に、胆嚢腺腫や胆嚢がんは1個の事が多く、茎が太くて比較的早く大きくなるとされています。胆嚢腫瘍が疑われる場合は、超音波内視鏡検査(内視鏡の先端に超音波装置が内蔵されたもの)などの精密検査が必要です。
胆嚢ポリープの診断を受けたら、最初は3カ月後に、その後は大きさや形の変化を見ながら6カ月から1年の間隔で、超音波検査の得意な消化器内科や外科の先生に経過観察してもらう事が大切です。大きさが1センチを超えたら手術が必要な場合もありますので専門医にご相談ください。