沖縄県医師会 > 健康の話 > ドクターのゆんたくひんたく > ドクターのゆんたくひんたく2009年掲載分 > 夜間頻尿

夜間頻尿(2009年11月17日掲載)

知念 善昭・同仁病院

原因特定し改善可能

夜間頻尿とは、夜間に1回以上の排尿があり支障を感じる状態をいいます。日本排尿機能学会の調査によると、日本では40歳以上で1回以上の夜間排尿のある人は4500万人いるとされています。夜間排尿回数は年齢とともに増加していく傾向にあり睡眠不足の原因にもなります。歩行の不自由な人にとっては、トイレに行くこと自体がつらいものになります。夜間頻尿がいくらかでも改善すれば日常生活はそのぶん楽になります。

夜間頻尿は昼夜多尿、夜間多尿、夜間一回排尿量の減少に分けられ、それぞれ原因が異なります。昼夜多尿は水分の過剰摂取、糖尿病、内分泌疾患などがあります。夜間多尿は夜間の水分過剰摂取、下肢の浮腫、うっ血性心不全、腎不全、抗利尿ホルモン分泌異常などです。一回排尿量の減少は過活動膀胱(ぼうこう)、前立腺肥大症、前立腺炎、間質性膀胱炎、低活動膀胱、尿道狭窄(きょうさく)のほかに不眠、心理的要因などによります。それぞれほかにも原因はあります。

昼夜多尿や夜間多尿の原因は膀胱機能とは関係ないことがほとんどです。この場合多尿の原因を調べそれぞれに応じて治療することになります。糖尿病、うっ血性心不全、内分泌疾患、下肢の浮腫、抗利尿ホルモン分泌異常などが原因であれば、それぞれの専門の診療科での治療または泌尿器科との連携治療が必要になります。一回排尿量が減少している場合は主に膀胱、前立腺、尿道などに原因があることが多く泌尿器科での治療が必要になります。過活動膀胱、前立腺炎、低活動膀胱は主に内服薬での治療が行われます。間質性膀胱炎は内服薬と水圧による膀胱拡張、前立腺肥大症は内服薬または手術による肥大部分の摘出などが行われます。不眠や心理的要因が原因の場合も改善は可能です。夜間頻尿はよくある症状です。

原因がはっきりせず治療に苦慮することもありますが、夜間頻尿で日常生活に支障がある場合、まず泌尿器科受診をお勧めします。