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ひざの痛み(2009年9月22日掲載)

東 千夏・与那原中央病院

負担軽減や手術で改善

日本は世界でも屈指の長寿国で、中でもわれらが沖縄は全国に誇る長寿県となっています。外来診療を通してひざの痛みに悩まされる方が多いことに驚く毎日です。乗用車や電化製品が月日とともに調子が悪くなり、故障が生じたり、壊れてしまったりするように、人間も長生きすればどこかしら不具合が生じるのでしょう。

膝関節(ひざかんせつ)内の関節軟骨や半月板は消耗品であり、関節にかかる負担が大きければ大きいほど、時間が長ければ長いほどその表面は傷つきやすく、徐々に割れたり、すり減ってしまったりします。

関節軟骨がすり減ってしまったひざは、炎症を起こすため痛みを伴います。ですから高齢者のみならずひざへの負担が大きければ若い人にもひざの痛みは生じます。

関節軟骨や半月板の働きは、関節の動きをスムーズにする、関節にかかる負担を分散させる、衝撃を吸収するなどがあり、私たちが日常生活を過ごす上で欠かせないものです。軟骨は再生しない組織ですが、最近の研究ではひざへの負担を軽くすることで軟骨によく似た組織が関節の表面を覆い、表面が滑らかになったとの報告があります。すり減った軟骨の表面が滑らかになれば、痛みが軽減し日常生活がもっと快適に過ごせることでしょう。

症状を改善させるためには手術という方法があります。手術は虫歯と同様に悪くなった軟骨をそぎ落として金属製の人工関節をかぶせてしまう人工膝関節と、径5〜6ミリのカメラを関節内に挿入し痛みの原因を取り除く方法があります。しかし、症状の改善は手術のみならず、関節内のヒアルロン酸注入や体重を減らすこと、足底板(いわゆる靴の中敷き)やひざ装具の使用、筋力訓練、生活習慣の改善などでも可能です。

ひざの痛みを抱え歩行や階段昇降、運動が憂うつなあなた、ぜひ一度整形外科を受診して、ひざの検診を受けてみてはいかがでしょうか。