胆石(胆嚢(たんのう)結石)について、外科外来での会話を基に紹介します。
―胆石があると言われたんですが…
「胆石とは胆嚢という袋のような臓器の中に石ができる病気ですね。今、特に症状がなければ、すぐ急いで治療する必要はないです」
―胆石をほっておくとどうなりますか?
「胆石による症状として、急に腹痛を起こす胆石発作、胆嚢に炎症を起こし腹痛や発熱などの症状を伴う胆嚢炎があります。運よく症状のない方でも、長期間胆石を持っていると胆石による胆嚢への慢性的な刺激によって、胆嚢腫瘍(しゅよう)・最悪の場合は胆嚢がんが発生することがあります。ですので、無症状でも胆石のある方は年1回程度の超音波による検査をお勧めしています」
―胆石の治療法は?
「溶ける胆石であれば、胆石を溶かす飲み薬で治療することがあります。しかし、この方法は効果が不確実で、また、いったん胆石がなくなっても再発することがあります。完全な治療法は手術で胆嚢を取ることです。胆石だけ取っても、胆嚢がある限り胆石は再発します。従って、再発させないためには、胆嚢ごと取る必要があるのです」
―胆嚢は取っても大丈夫なんですか?
「胆嚢は肝臓から分泌される胆汁という消化液を一時的にためておく水タンクのような働きをしていますが、胆嚢を取っても日常生活にはほとんど影響ありません」
―手術は痛いですよね?
「開腹手術(大きくおなかを切る手術)ではかなり痛みます。しかし、現在では4カ所の小さな傷からおなかの中にカメラや手術器具を入れて胆嚢を取る、腹腔鏡(ふくくうきょう)下胆嚢摘出術という、より痛みが少なく、美容的にも良い方法で手術しています」
―分かりました。手術するかどうか考えてみます…
胆石は10人に1人がかかる病気といわれており、その手術の90%以上が腹腔鏡下胆嚢摘出術で行われています。胆石と言われたことのある方は、一度、病院でご相談ください。