高血圧症には本態性高血圧と、ホルモンなどが原因で起こる二次性高血圧があります。前者は体質が関与するため、基本的に一生薬を服用する必要がありますが、後者の中にはホルモンを産生している腫瘍(しゅよう)を手術で取ることで、高血圧を治せる場合があります。二次性高血圧を起こす病気のいくつかについてお話してみたいと思います。
左右の腎臓の上に副腎という三角形のおにぎりのような形をした臓器があります。そこからはコルチゾール、アルドステロン、カテコールアミンといったホルモンが分泌されており、この三つのホルモンのどれが過剰になっても高血圧になります。コルチゾール過剰はクッシング症候群、アルドステロン過剰は原発性アルドステロシ症、カテコールアミン過剰は褐色細胞腫とそれぞれ呼ばれます。
二次性高血圧は、(1)若い年齢で高血圧になる(2)血圧をコントロールするのに何種類も薬が必要−といった特徴があります。
副腎のホルモンで起こる病気にはそれぞれに特徴があり、クッシング症候群では中心性肥満、糖尿病の合併などの症状が出ます。原発性アルドステロン症では低カリウム血症、四肢脱力などがあり、褐色細胞腫では発作性の高血圧、動揺性高血圧などの症状が主ですが、逆に起立性低血圧を来すこともあります。
ほかに高血圧を来すホルモン異常で頻度が高いものとして、バセドー病があります。のどぼとけの下に甲状腺があり、ここから分泌されるホルモンが増える病気です。症状としては高血圧に加え、動悸(どうき)、暑がり、体重が減る、イライラしやすいなどがあります。
二次性高血圧は、それを疑って該当するホルモンを測定しない限り診断できません。しかし、手術すれば降圧薬を服用する必要がなくなるので、該当するホルモンを見つけ出すことが大切です。高血圧に加え、ここで述べたような症状がある場合は、主治医と相談して、一度ホルモンを測定してもらってはいかがでしょうか。