あまり知られていない子供のおちんちんの話です。小児期の亀頭は包皮で覆われていますので亀頭は見えません。いわゆる亀頭は皮かぶりです。これを包茎といい病的な状態ではありません。
包皮を反転しますと赤みがかった亀頭があらわれます。包皮の内面、特に環状溝は垢(あか)が蓄積しやすく、感染を起こすことがあります。感染すると包皮は発赤し腫脹(しゅちょう)します。同時に頻尿と排尿痛の症状があらわれます。この時、包皮口にたまった膿(うみ)のような分泌物が見られます(急性亀頭包皮炎)。また炎症を繰り返しますと包皮と亀頭が癒着してきます。早いうちは、包皮をはがす包皮剥離(はくり)は容易でありますが、放置していますと癒着が強くなり包皮反転が難しくなります。
このようなことを避けるために、入浴時、包皮を反転して、垢が蓄積しないようにシャワーで軽く洗浄して、清潔に保つことが大切です。包皮口は包茎輪という、伸縮性の乏しい束ねられた繊維性組織があります。包茎輪がゆるく容易に包皮の反転ができるのを仮性包茎といいます。ほとんどの小児がこの状態です。
包茎輪が狭くて包皮の反転が困難か、またはできないのを真性包茎といいます。陰部を手でいじる、あるいは陰茎が勃起(ぼっき)したときなど何らかの拍子に包皮が自然に反転しびっくりして元にもどそうとしてもできないことがあります。しばらくすると包皮にむくみが生じ、ますます整復が難しくなります。
原因は包茎輪が環状溝でひっかかるためで、放置すると包茎輪が陰茎を強く締め付けるためです。まもなく包皮は循環障害を起こし、浮腫を生じ原形をとどめないほど大きく腫れます。この状態をかんとん包茎といい、早めに泌尿器科を受診して、治療を受けなければいけません。
ほとんどが無麻酔での徒手整復が可能ですが、まれに手術を必要とします。小児期の真性包茎は成人になるまでほとんどが仮性包茎になりますので特に治療を必要としません。しかしその過程でかんとん包茎を発症することがありますので、痛みを訴えたらよく見てあげましょう。