ここ沖縄県でも、最近は川遊びをする人が増えてきました。自然と触れ合うことで心が癒やされたり、家族や友人と楽しいひとときを過ごしたりすることは貴重な体験です。またエコツーリズムの一環として、河川と触れ合う観光客も増えてきました。しかし近年、水との接触の後にレプトスピラ菌という細菌に感染して、場合によっては入院治療を受ける例が、県内で報告されています。
レプトスピラ症とは、病原性のあるレプトスピラ菌を感染源とし、約3〜14日の潜伏期間を経て、発熱や筋肉痛、結膜充血などの症状を発症します。重症例では、黄疸(おうだん)や腎機能障害を起こし、死亡する場合もありますが、基本的には抗生物質により治癒することが可能です。季節的には、7月から10月にかけて患者が多く発生しています。
レプトスピラ菌は、保菌動物であるネズミやマングースなどの腎臓から、尿として排出され、水や土壌を汚染し、そこに皮膚や粘膜が接触することで感染が成立します。この場合、皮膚に傷があると感染しやすくなります。また、人間だけでなく、ペットの犬が感染することもあります。
沖縄県は全国的に患者が多く発生する地域で、昨年は、県内で28例が発生し、ほかの県でも3例が沖縄県内での感染が疑われる例として報告されています。その中には河川で遊んだという方がいましたが、患者の特徴として、遊ぶときの服装が短パンやはだしの場合やサンダルなど肌の露出が大きい場合に、感染のリスクが高くなるようです。また、雨が降った後には、感染のリスクが高くなるとも言われています。
暑い夏を迎えて、川遊びを計画されている方も多いと思いますが、楽しいレジャーの裏には、このような感染症が潜んでいることを認識してください。そして、感染リスクを低くするような工夫(例えば川に入るときには靴を履き、長ズボンを着用するなど)を心掛けるようにしましょう。また、川で遊んだ後1〜2週間以内に発熱して医療機関を受診する場合は、川や沼などで水との接触があったことを主治医に伝えるようにしてください。