頭痛を経験したことがないという人はめったにいません。われわれの約90%が、年に最低一度の頭痛を経験しています。頭痛は、さまざまな原因によって引き起こされるため、痛みの強さ、場所、続く時間なども異なります。こうした頭痛の中には、放っておくと生命がおびやかされるような危険な頭痛もあります。また、生命にかかわらなくても、耐え難い頭痛のために生活に支障を来すこともあります。まず、自分の頭痛がどのタイプかを知ることです。
頭痛には大きく分けて一次性と二次性の二つのタイプがあります。
一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。頭や体には頭痛の原因となる別の病気はみられません。しかし何らかの原因で、慢性的に繰り返し頭痛が起こります。頭痛患者さんの90%がこのタイプにあたります。日本で約3000万人が「頭痛持ち」といわれております。そのうち840万人が片頭痛、2200万人が緊張型頭痛、1万人が群発頭痛と考えられています。
二次性頭痛は脳腫瘍(しゅよう)や感染症、脳卒中など、別の病気が原因で起こる頭痛です。頭痛患者さんの10%がこのタイプにあたり毎年3万人に発生しています。重篤な病気を疑う二次性頭痛に、今までに経験のない頭痛、急激に起こった頭痛、だんだん悪化していく頭痛、高熱を伴う頭痛、しゃべりにくい・手足がしびれる・字が読みにくいなどの神経症状を伴う頭痛などがあります。
頭痛持ちの大多数は頭痛を我慢するか、市販の鎮痛薬に頼り、実際に医療機関を受診するのは10人に1人程度です。慢性的に頭痛のある人は鎮痛薬を飲み過ぎる傾向にあり「薬物乱用頭痛」を生じる場合があります。頭痛の原因にはさまざまなものがあり、それぞれ対処法が違っています。薬以外にも食事内容、タバコやアルコールを減らすこと、適度な運動、ストレス軽減、生活リズムの改善で症状の軽減が可能な場合もあります。
頭痛のないときでも受診は可能です。医師の診察を受け、正しく治療することをお勧めします。