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座骨神経痛(2009年4月21日掲載)

平良 豊・牧港クリニック

神経ブロックで治癒も

座骨神経痛は、腰・おしり・太もも・ふくらはぎにかけての線を引いたような痛みのことをさします。この原因はほとんどの場合腰にあります。その代表的疾患が「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」「腰椎すべり症」「変形性腰椎症」です。

ヒトの脊椎(せきつい)は臼型の骨が連なって、身体の柱の役割を果たしています。一方で脊椎の中には頭がい骨から尾骨に至るまでの長いトンネル(脊柱管)があり、その中を脊髄(せきずい)がとおっています。脊椎は脆弱(ぜいじゃく)な脊髄を硬い骨で守るという役割も併せ持っていることになります。

腰椎の脊柱管には脚からの神経が入り込み脊髄に合流します。その腰椎に変形やずれが生じて脊柱管の中の神経が圧迫されたり、炎症が起きたりすると、脚の痛みが生じます。これが座骨神経痛の起きるメカニズムです。

多くの場合、内服やリハビリで治癒します。しかし、痛み止めを飲んでも耐え難いときはどうでしょう。そんなときに神経ブロックが威力を発揮します。神経ブロックとは、痛みの原因となる神経に局所麻酔薬(1時間程度、末梢神経(まっしょうしんけい)を麻痺(まひ)させる薬)と副腎皮質ホルモンを注射する方法です。

この方法は単に一時的に麻酔で痛みを止める効果ではなく、神経の炎症を抑え、神経の働きを正常化することによって神経痛を治癒させる効果があります。座骨神経痛の治療としては仙骨部硬膜外(せんこつぶこうまくがい)ブロック、腰部硬膜外ブロック、神経根ブロックがあり、病状によって使い分けます。

局所麻酔薬の副作用として血圧低下やアレルギー反応が起きる可能性があるので、血圧、脈拍、血液中の酸素量を30分間は監視する必要があります。なお、ワーファリンやアスピリンなど血液が固まるのを防ぐ薬を服用していると神経ブロックができない場合があります。治療の前にお薬手帳のチェックが必要です。

座骨神経痛は我慢せず、一度ペインクリニックを受診するとよいでしょう。