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インフルエンザと漢方薬(2009年3月24日掲載)

大宜見 義夫・おおぎみクリニック

体力、体調、経過に注意

今年の冬は、インフルエンザが猛威を振るいました。頼みのタミフルも異常行動や耐性の問題で使いづらくなり、診療現場も混乱しました。そういう中、麻黄湯(マオウトウ)という漢方薬がタミフル並みの効能があるとされ、注目されています。麻黄湯の使用法を通し、漢方薬の特徴を説明いたします。

漢方薬の特徴の一つは、患者さんの体力・体調・体質によって薬の種類や使い方が違うことです。

タミフルなどの西洋薬の場合、原則として体力・体調・体質に関係なく万人向けに使われます。一方、漢方薬では、体力・体調・病気の経過(初期か後期かなど)によって飲むべき薬が違ってきます。患者さんに応じて処方されるオーダーメードのような薬です。

例えば、インフルエンザのような高熱の人に麻黄湯を使うのは、胃腸が丈夫でがっしりタイプの人が、ゾクゾクした寒気に襲われ、節々が痛み、汗をかいていない場合です。

大人の場合、麻黄湯エキス剤一包をお湯に溶かして服用後、熱いおかゆと共にネギやショウガ入りの味噌(みそ)汁などをすすり、布団をかぶって暖まります。一包で汗が出てこなければ、3―4時間後に再び同じように服用します。大切なことは、麻黄湯を飲みながら暖まることです。大量の汗をかいてきたら、すぐ着替えて冷えないようにします。

乳幼児の場合は小児用量を1日三回に分け、3日間を目安に汗をかくまで投与します。

麻黄湯を服用した場合、熱がいったん上がった後、汗をかいて解熱する傾向がありますのでご留意ください。既に汗をかいているとか、寒気がなければ麻黄湯は使えません。鼻血の出やすい高血圧の人、冷え性、胃腸が弱く体力のない人にも使えず、別の漢方薬に替える必要があります。

最近の沖縄ではインフルエンザが年中はやるようになりました。インフルエンザのような高熱に見舞われたら、漢方薬も選択の一つと考えてください。