最近、若者の間での大麻使用の広がりが社会問題となっていますが、ここでクイズです。大麻同様に危険で有害なのに、簡単に手に入る薬物は何でしょう? 答えは、たばこです。
たばこの主成分のニコチンは、脳に変化を起こしニコチン依存症という病気を引き起こします(10代も同じです)。喫煙者の7割は10代に喫煙し始めるといわれ、喫煙開始が早いほど健康被害は甚大です。
10代がニコチン依存症に陥りやすい要因は3つあります。1つ目は軽い気持ちで喫煙し始めることです。10代は好奇心が強く「実験と冒険の時期」。仲間の誘いやメディアの影響でたばこを吸ってみる、これが悲劇の始まりなのです。
2つ目は脳の発達段階の特性です。脳科学の進歩で、人間の脳は20代前半まで発達することが分かってきました。
ニコチンはコカインなどの麻薬と同様、脳に強力に作用し依存状態を作り出します。発達途中の脳は強い刺激に対する抵抗力が弱く傷つきやすいため、興味本位の1本が依存症の悲劇につながります。
3つ目は簡単にたばこが手に入る環境で、タスポ導入後も変わりません。このように10代の喫煙は個人の問題だけでなく、年齢の特性や社会状況が深く関連しています。
10代の喫煙への対応としては、規則違反への懲罰ではなく、病気としての治療(禁煙)が必要です。また、ほかの病気と同様に、予防と早期発見・早期治療、再発防止が重要です。
予防(防煙)は思春期に入る前に喫煙に対する正しい知識と対応を教えること、早期発見には普段から言葉を交わし、生活ぶりを見守ることが大切です。治療については医療体制を含めて課題が多く、安心して相談や治療が受けられる環境づくりが急務です。
防煙・禁煙の努力は必ず実を結びます。喫煙現場を見つけても一方的にしかりつけず、禁煙へ向けて励まし、「あせらず、あきらめず」支えましょう。