季節季節の気象状況により体の節々が痛み、起床時には特に両手がこわばる…。リウマチの患者さんにとっては憂うつな毎日である。
関節リウマチ(RA)、いわゆるリウマチの歴史は古い。痛みが全身をくまなく移動することから、痛みの原因物質が血流中を流れているものと想定され、ギリシャ語で「流れる」を意味するリウマチが使われるようになり、そのまま定着している。
現在でも根本的な原因は不明であるが、未知のウイルスが侵入し、特定のヒトと相性が合った時、全身の関節炎として発症するとの説が有力である。
ともあれ、治療法は格段に進歩した。早期発見、早期治療、継続治療が原則である。薬物療法、手術療法、リハビリテーションと個々の患者さんに最も適切な、時宜を得た治療法が選択できる時代となった。
薬物療法では、消炎鎮痛剤を基本として、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤の併用療法で十分な治療効果が得られる。
ただ、このような治療法は諸刃(もろは)の剣であり、副作用の発現には細心の注意を要する。
各治療法の適用、その時期と期間との組み合わせは、患者さんの状態に応じて慎重に吟味される。また、これら従来の治療法はいわば総花的・対症的治療法で、必ずしも的を射た治療法とは言えないところもあるのは否めない。
数年前、革新的な治療法が開発された。RAの原因は不明であるが、その病態、特に進行過程である炎症・免疫反応が分子レベルで解明され、そこで主役、脇役、善玉、悪玉がリストアップされた。病態の悪循環を断つため、最大要因の悪玉に的を定めミサイル(生物学的製剤)を発射するのだ。
生物学的製剤はRAの疾患活動性を制御し、関節破壊の進行を抑止する。さらに、QOL(生活の質)や生命予後を改善した。現在は外来通院で治療可能であるが、医療費(薬価)が高額となるのが難点である。