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ドライアイ(2009年2月2日掲載)

外間 英之・外間眼科医院崇元寺

涙目なのに乾き目?

「眼が涙でクシャクシャして見づらい」、「拭いても涙が出て困る」といった訴えで、外来に来る患者さんがいらっしゃいます。慢性的な結膜炎か鼻涙管(涙の出口)の閉塞(へいそく)かと診察しますと、逆にドライアイ(乾き目)であることが意外に多いのです。乾き目なのに涙が多いとは何でしょうと、患者さんはポカンとしてしまいます。

ドライアイは、涙液の減少や質の変化により眼の表面に障害を引き起こす疾患です。涙液はまばたきによって眼の表面を覆い、乾燥予防、洗浄、殺菌、栄養供給などの役割を果たします。その涙液に異常があると眼の表面が乾燥し栄養不足になり様々な症状が生じます。一般的には目が乾く、ショボショボする、開けづらい、疲れる、充血する、かすんで見えるといった症状が多くみられます。睡眠中は涙液の分泌がなくなるため、意外にも起床時に症状は強くでます。さらに乾燥が強くなると眼表面の栄養不足から角膜に傷ができ異物感やしみるような痛みがでて、その刺激により反射性に涙液が分泌されます。結果、涙目なのに乾き目という状態になるのです。

ドライアイの原因は加齢や睡眠不足による涙液の量・質の変化、パソコン作業や運転、読書時のまばたきの減少、空調などによる室内の乾燥、コンタクトレンズやアレルギー性結膜炎、紫外線の曝露(ばくろ)などです。

治療はまず原因を除去するように、日常生活に注意します。睡眠を十分にとり、眼を集中して使う作業の際は意識的にまばたきをして適度に休憩をとります。空調も直接当たらないように工夫し、加湿器の使用も効果的です。これで改善しない場合は、人工涙液や角膜保護成分を含んだ点眼薬や眼軟膏(こう)を使用します。点眼薬の種類や回数は症状の重症度により異なります。これでも改善しない重症のドライアイは、ご自身の血液でつくる血清点眼や涙の流出口(涙点)に栓をして眼表面に涙液を溜める治療などを行います。後者はシリコン製の涙点プラグという栓やコラーゲン溶液を利用して閉塞する方法、外科的に涙点を焼いて閉塞する方法などがあります。適応は症状によりますので、よく相談のうえ治療をうけることをお勧めします。

ドライアイの症状は多様でありひどい時は視力障害を起こします。日本では推定800万人の患者がいるといわれ、パソコンの普及や環境の悪化により今後増加すると考えられています。あなたの眼の症状も実はドライアイが原因かもしれません。検査は比較的簡単にできますので、気になる方は眼科医にご相談ください。