胆のうはおなかの右上で肝臓にくっついている袋状のものです。肝臓で作られる胆汁という液体を蓄える働きがあります。胆汁は肝臓から胆管という管を介して集められ、胆のうに送られます。そこで胆汁は濃くなります。食べ物が胃を通り、十二指腸へ入ると、胆のうが縮み、濃くなった胆汁が十二指腸へ流れ、食べ物の消化、吸収を助けます。
胆石症とは、胆のうに石ができる病気です。一口に石といっても、いろいろな成分からなっています。カルシウムが主成分であったり、コレステロールが主成分であったりします。胆のうに石ができると、みぞおちからおなかの右側にかけて痛みが出る場合があります。きりきりと痛んだり、重苦しい感じであったりと痛み方はさまざまです。胃の調子が悪いと感じ、食欲がなくなることもあります。
また、胆のう内の石が原因で胆のう炎を起こすことがあります。その際、腹痛がより強くなり、高熱がでて、食事が摂(と)れなくなります。こうなると入院の上、点滴され、抗生物質を投与されることになります。場合によっては緊急手術を受けなければなりません。
一般に胆のうの手術は、緊急ではなく待期的に行われます。多くの場合、おなかの4カ所に3ミリから1センチくらいの穴をあけるだけで手術できます。腹腔(ふくくう)鏡と呼ばれるカメラを使い、モニターを見ながら、鉗子(かんし)と呼ばれる道具を操作して手術を行います。手術時間は数十分から数時間程度であり、入院期間も数日ですみます。しかし、胆のう炎を繰り返している場合、胆のう周囲の炎症がひどくなり、手術操作が大変難しくなります。腹腔鏡での手術ではうまくいかず、開腹手術、すなわちおなかを大きく切開する手術に移行することもあります。
手術では、胆のうをまるごととってしまいます。そうしなければ胆石が再発するからです。胆のうがなくなってしまいますが、特に心配はいりません。次第に体が順応していきます。
胆石の診断には、超音波検査が極めて有用です。超音波検査は痛みなどなく、被ばくの心配もありません。一度受けられることをお勧めします。怖がらずに、病院でご相談ください。
ここまでお読みになられて思い出しませんか、突然襲ってくるおなかの痛み。胃の調子が悪いと思って胃薬を飲んだりしていませんか。胃が痛むと訴えて、胃カメラを受ける方までいらっしゃいます。胃カメラで異常がないときでも、超音波検査を受けてください。胆のうに石が見つかるかもしれませんよ。