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血尿(2008年10月20日掲載)

島袋浩勝(沖縄第一病院)

年齢問わない症状

がんなどの疾患も

「検診で尿潜血があると言われたのですが…」「それではまず、尿検査と腹部エコー検査をしましょう」

泌尿器科の外来でよくある会話です。検診や人間ドックで尿潜血陽性とか、血尿を指摘されたことはありませんか? ある調査の結果では、男性の3・5%(三十人に一人)、女性の12・3%(八人に一人)に尿潜血陽性が見られたとのことです。また、血尿で泌尿器科を受診される方は、小さなお子さんから百歳以上のお年寄りまでいらっしゃいます。つまり、老若男女を問わず誰に起こってもおかしくありません。

血尿や尿潜血陽性とは、文字通りおしっこに血液が混ざることをいいます。目で見て分かる血尿(肉眼的血尿)から、顕微鏡で見てやっと分かるような血尿(顕微鏡的血尿)まであります。また、痛みなどを伴うような血尿もあれば、まったく症状がない血尿(無症候性血尿)もあります。

通常、おしっこに血液が混ざることはありません。正常でも、ある基準以下の血液が混ざることはありますが、おしっこに血液が混ざることは、何らかの問題があると考えられます。血尿は腎尿路系疾患(腎臓から膀胱(ぼうこう)など尿の通り道の疾患)の重要な手がかりになることがあります。

血尿の原因となる疾患として、膀胱炎などの感染症や、腎炎など腎臓病、結石(腎臓・尿管・膀胱など)、がん(腎臓・膀胱・前立腺など)などいろいろな疾患があります。膀胱炎は抗生剤の内服だけで良くなることがほとんどです。腎臓病が考えられる場合は、検査の結果から適切な薬の内服で、病気の進行を食い止めるような治療もあります。

結石が見つかった場合は、内服薬治療や体外衝撃波破砕術などの治療があり、再発予防の治療もあります。血尿でがんなどの腫瘍(しゅよう)が見つかることもあります。しかし、早期で発見できることが多いため、薬や手術などの治療で良好な経過の患者さんが多いです。

「○○さんの血尿は問題ありませんので、また一年後に尿検査をしましょう」「○○さんの血尿は治療ですっかり良くなりました。早めに治療ができて良かったですね」

これらもまた泌尿器科外来でよく聞かれる話です。おしっこは口ほどにものを言う、いや、口以上にものを言います。そして、適切な検査・治療で解決することも多いのです。

血尿を指摘されたら早めに泌尿器科を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。