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間欠性外斜視(2008年10月6日掲載)

関口和行(豊見城中央病院)

時々、眼が外側にずれる

眼精疲労の原因にも

普段、視線が合っている人が眠いときや疲れたときにどこを見ているか分からないことがある。このような症状があったら、それは間欠性外斜視かもしれません。

斜視というのは右眼と左眼が別の方向をみている状態をいいます。斜視のなかで最も多くみられるものが間欠性外斜視です。常時ではなく時々眼が外側にずれているというのが症状です。

小児では自覚症状はあまりありませんが、眼のずれのほかに、まぶしがるように片眼を閉じるしぐさをすることがあります。他に病気がなければ視力の発達には影響は少なく、弱視になる心配はありません。小学校高学年以降から成人では、眼のずれ以外に自覚症状として眼精疲労や複視(ものが二重にみえること)が加わります。

間欠性外斜視は経過をみていても自然に治ることはありませんので、眼がずれている頻度が増え、外斜視が目立つようになったら治療のために手術を考えます。

すべての症例に手術が必要ではなく、近視や遠視等の屈折異常や他の斜視が合併していないか、両眼を同時に使う機能が低下していないかを検査して決めます。手術の目的は外斜視を目立たなくすることによる外見と眼精疲労の改善です。検査結果から手術を片方の眼にするか両方の眼にするか、眼を内側に動かす力を強める前転法を用いるか、外側に動かす力を弱める後転法を用いるかを決定します。

手術時期ですが間欠性外斜視は急ぐ必要はありません。小児でも成人でも、何歳でも可能です。しかしこれは時期が遅くても良いという意味ではありません。小児でも斜視が目立つ場合は外見による心理的負担は決して軽いものではなく、本人が認識する前に手術することが良い場合もあります。中、高校生以降では眼精疲労が学業や仕事での集中力低下として影響することもありますので、この場合も手術をすすめて良いかと思います。

最近の傾向として高齢者の斜視手術をする機会が増加しています。高齢化社会の影響はもちろん、斜視を良くすることがクオリティーオブライフを高めると認識され、昔より積極的に手術を希望される意欲のある患者さまが増えているからと考えます。

間欠性外斜視以外にも斜視の種類はあります。治療に眼鏡装用が必要な斜視もありますし、早い時期に手術が必要な場合もあります。

斜視かもしれないと思ったら眼科で検査を受けてみてください。もしかしたら、なかなか良くならない眼精疲労の原因が間欠性外斜視かもしれませんよ。