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緑内障(2008年9月8日掲載)

仲村佳巳(なかむら眼科)

40歳以上、20人に1人

年に1回は眼科検診を

皆さんは「緑内障」という病気をご存じですか? 最近は目のことがテレビやマスコミなどで取り上げられるようになり、一般の方にも認識が広がってきているようです。

二〇〇〇―〇一年に行われた疫学調査によると、日本人は四十歳以上の二十人に一人が緑内障であることが判明しました。緑内障とは眼圧(目の硬さ)などによって、目の奥にある視神経が傷つき、見える範囲が欠けていく病気です。

病型には二タイプあります。一つはゆっくり進行する「開放隅角(ぐうかく)緑内障」。もう一つは急に目が痛くなって頭痛や吐き気が起こり、放置すると失明する恐れのある「閉塞(へいそく)隅角緑内障」です。開放隅角緑内障の中でも最も多いのは眼圧が正常な「正常眼圧緑内障」です。この場合、眼圧検査のみでは発見できず、通常視野が欠けてきてもそのスピードが緩慢なため、気付くのに遅れることが多々あります。確実な診断のためには、視神経の状態を調べる眼底検査と視野の検査が必要です。

最近では、コンピューター画像解析装置などを用い、早期から傷ついた神経を判定することが可能になりました。治療は目薬やレーザー、手術などで眼圧をできるだけ下降させ、進行を加齢変化と同レベルまで遅らせることです。

一方で「閉塞隅角緑内障」ではどうでしょうか? 沖縄県は全国に比べて、このタイプの緑内障の頻度が高いと言われています。目の中には、房水という水が循環しています。房水の流出する出口のことを「隅角」といいますが加齢に伴い隅角は狭くなります。その要因として大きく関わっているのが「水晶体」です。水晶体は老化とともに濁ってきます。いわゆる「白内障」ですが、その際に硬く厚くなっていくことで、より一層隅角を狭くしていきます。その特徴は多くの患者が遠視で、しかも女性が男性の約三倍です。

診断は、眼底や眼圧検査だけでは分かりません。有効な検査として超音波生体顕微鏡があります。これにより閉塞隅角緑内障になりやすいかどうかが判断できるようになりました。

治療はレーザーを使って虹彩(茶目)に穴を開け、水の通るバイパスを作ります。最近では隅角を狭くする原因となっている水晶体を取り、眼内レンズに入れ替える手術(水晶体再建術)を行うことが有効であることが分かりました。

緑内障をむやみに恐れる必要はありません。早期発見・早期治療が大切です。四十歳を過ぎたら年に一回は眼科検診をしましょう。