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サプリ類の取りすぎ(2008年8月5日掲載)

島袋敏秀(クリニックひがし野)

肝機能の異常も

何事もほどほどが一番

体調が悪いようですが、体のどこが悪いのかはっきりしない訴え(不定愁訴)で「病気ではないかねえ」と患者さん。いろいろと調べても、明らかな病気が見つからず「症状がはっきりするまで、もう少し様子を見ましょう」と言うと「先生は隠しているのでは?」と言って聞きません。「ヤンメーやチムからるやる(病は気から)。気の持ちよう一つで病気にもなるし、健康にもなる、と昔から言うでしょう」と説得します。

ある患者は、特に悪いところを指摘されたこともないのに、さらなる健康を求め、最近流行の健康食品やサプリメントの類(たぐい)を愛用していました。そのうち、肝機能の異常が出現しました。サプリメントなどが明らかに原因とはいえませんが、取りあえず摂取を中止し、経過を見たところ、正常化しました。口を経て体に入るものは、すべて肝臓を通ります。サプリメント類の愛用が肝臓に無理をさせていたのでしょう。わたしは「過ぎたるは及ばざるがごとし。何でも体にいいからといって取りすぎると、逆に体を壊してしまう。クチカラドゥシイラーイイル(口から災難も入ってくる)。食べすぎ、飲みすぎは体に良くない」と説明しました。

身長一七五センチで体重八〇キログラム、腹囲九〇センチの中年男性が「人間ドックでメタボと言われた」と来院したことがあります。メタボリック・シンドロームは、これまで高血圧症や糖尿病、高脂血症、肥満などといっていたものを一連の代謝異常によるものとしてまとめた呼び方です。

彼の場合、特に疾患もなく、臓器障害もありませんでした。肉体労働に従事し、何ら支障を感じたことはないとのことでした。単に腹囲でメタボと言われ「内臓脂肪が多いから生活習慣を変えるように」と言われたようです。わたしははっきり「メタボではありません。今まで通りの生活でいい」と言いました。

メタボと騒ぎ、それぞれの健康に目がいくようになったのはいいと思います。しかし、いらぬ心配をして、サプリメントに走ったりしてしまっては、あまり喜ばしいことではありません。

飲酒運転などで悪玉の筆頭となっている酒についても同じことがいえます。飲みすぎると利尿作用が起こり、血液濃縮の元となり、血管が詰まりやすくなります。しかし、適量であれば一種の血管拡張作用があり、体にいいわけで「酒は百薬の長」なのです。

健康を考えるにしても、何事もほどほどが一番といえます。