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麻疹(はしか)について(2008年7月15日掲載)

赤嶺盛和 沖縄赤十字病院

ワクチンは2回接種を

重症化すると生命に危険も

麻疹(ましん)(はしか)は麻疹ウイルスの感染によって起こるウイルス感染症です。潜伏期間は十―十二日程度で、症状はカタル期(三―五日)、発疹(ほっしん)期(四―五日)、回復期に分けられます。

カタル期は熱、せき、鼻水とともに、コプリック斑と呼ばれる麻疹に特徴的な頬(きょう)粘膜の斑点が現れます。発疹期は、顔面から下へ次第に赤い小さな発疹が広がっていきます。回復期は熱が下がり、発疹も消えていきます。

過去にワクチン接種を受けているものの、時間がたつにつれて、麻疹に対する免疫が不十分となってしまうことがあります。そういう方が麻疹にかかると、修飾麻疹といって、典型的な皮疹(ひしん)が出現せず、麻疹なのか分かりにくいこともあります。

成人麻疹の症状も基本的に同じですが、子供より重症化することが多いといわれています。重症化すると肺炎や脳炎などを引き起こすこともあり、生命に危険の及ぶ怖い病気です。

基本的な対策は、ワクチンによる予防です。麻疹ワクチンを接種することで、免疫を高め、発症予防ができます。接種率が高ければ(95%以上)、根絶も期待できるといわれています。

米国、韓国などでは、高い接種率(二回接種)を保つことで、麻疹患者の発生が劇的に減少しています。一方、日本は欧米に比べ、麻疹患者の発生が多い状況にあります。これは低い接種率が原因と考えられています。現在、日本では一歳時と小学校入学前の二回ワクチンを接種します。しかし接種率は低く、特に二回目は向上が課題となっています。

二〇〇七年、十―二十代の若者を中心に麻疹が流行しました。二百六十三校が休校し、学生二十四万人に影響が出たといわれています。これは、はしかにかかりやすい人が多くいることを物語っています。

沖縄県でも、〇八年に十―二十代を中心に麻疹が流行しました。原因として(1)麻疹ワクチン未接種者の感染(2)一回の麻疹ワクチン接種は行っているが、時間がたつにつれて免疫が落ちた―の二点が考えられています。国は従来の定期接種に加え、〇八年四月より五年間の期間限定で、中学一年生と高校三年生への接種を開始しました。沖縄県でも、早くから危機感を募らせ、〇一年から全国に先立ち「はしか“0”(ゼロ)プロジェクト」を推進し、積極的にワクチン接種を推奨しています。ワクチン接種率の向上で、国内の麻疹発生者がゼロになることを願ってやみません。