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更年期障害(2008年2月19日掲載)

山城貴恵(クリニックおもろまち)

詳しい問診 非常に重要

対処法で症状コントロール

最近何となく眠れない、いらいらする、のぼせたり急に汗をかいたりする、肩こりや腰痛がひどいといった症状のある方。実は更年期障害かもしれません。

更年期とは閉経前後五年間であり、日本人女性の平均閉経年齢は五十歳と言われていますので、人によっては四十歳ぐらいから六十歳ぐらいまで更年期障害が出現することもあります。また閉経とは卵巣機能が消失し、月経が停止することで、一年間月経が停止した状態をいいます。

更年期障害とは更年期の時期に現れるさまざまな症候群で、ホルモンバランスの乱れによる自律神経失調症のほか、心理的または社会的に不安定な時期でもあり心因性の場合もあります。また沖縄の女性は働いている方が多いので仕事上のストレスも原因となります。

更年期障害の症状として、身体的な面ではのぼせ、発汗、だるさ、冷え、動悸(どうき)、頭痛、肩こり、腰痛等があります。また精神的な面ではいらいら、不眠、やる気が出ない、集中力が低下している等が挙げられます。

診断は、採血や心理テストのほかに、詳しい問診が非常に重要になります。一人一人更年期障害になる背景は異なりますので、生活状態、人間関係といった細かい問診が必要となります。また、ほかの病気(バセドウ病や橋本病といった甲状腺異常等)ではないかの除外診断も重要です。

更年期障害の治療ですが、食事療法、運動療法、精神療法、薬物療法があり、すべてのバランスを整える事が重要です。食事はバランスのとれた食事で、特に脂肪を控えめにカルシウムや大豆イソフラボンを十分に摂取することが重要です。

適度で、かつ継続性のある運動も勧めています。ストレッチやウオーキング、水中歩行を週三回程度から始めてみてはいかがでしょうか。

精神療法は受容、支持、保証を原則とした治療で、周囲の家族、友人が協力的であれば幸いですが、無い場合は医師やカウンセラーによって行われます。特に女性は話をする事で良くなる場合も多く、更年期の女性の周囲にいる方は、側にいて話を聞き、支えてあげることが何よりの治療となることがあります。

最後に薬物療法ですが、ホルモン補充療法や抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、漢方薬を患者さん一人一人の状態に合わせて使用することで、更年期をうまく乗り切ることが重要といえます。

のぼせ、ほてり、発汗といった症状には、ホルモン補充療法や漢方薬が有効です。精神症状には抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬にホルモン補充療法や漢方薬を組み合わせる事によって症状改善を行います。

更年期障害は「気のせい」「気の持ちよう」といって、症状があっても我慢する時代もありました。しかし現在では、適切な治療と正しい対処法によって更年期障害の症状を上手にコントロールし、この時期を快適に過ごす事ができるようになっています。

症状が気になる方は一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。