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不整脈の診断と治療(2008年1月29日掲載)

大城力(翔南病院)

原因部位特定、格段に進歩

「頻脈性」、高周波で根治も

突然起こる動悸(どうき)やめまい・失神などを訴えて、病院を受診する患者さんは少なくありません。しかし多くの場合、受診時に症状はなく、心電図やレントゲン、心エコー等の検査でも問題はなく、原因不明と言われたり、あるいは神経症などの精神的なものと言われ安定剤が処方される事がよくあります。また二十四時間心電図が行われることもありますが、症状の頻度が少ない場合は不整脈がとらえられることはまれです。

不整脈の専門病院では症状から不整脈を疑った場合、「心臓電気生理検査」という検査を行います。この検査は電極のついた管(カテーテル)を心臓の中に留置し、脈が速くなる「頻脈性不整脈」や、脈が遅くなったり心停止を起こしたりする「徐脈性不整脈」を誘発して確定診断を行うための検査です。確定診断を行うことによって一番適切な治療を行うことが可能となります。

頻脈性不整脈には(1)期外収縮(2)発作性頻拍症(3)粗細動―などがあります。それぞれ心臓の上の部屋から発生する心房性(上室性)と下の部屋から発生する心室性があります。

期外収縮とは、正常な脈と脈の間に発生し、「脈がとぶ・胸がドックンとする」と自覚することが多いようです。この場合は、心臓の基礎疾患がない場合は治療の対象になりません。しかし、期外収縮の数が多く動悸、息切れ・不安感、恐怖感などの症状によって、「生活の質」の低下を招いたり、頻拍症を起こす危険性がある期外収縮は治療が必要です。

発作性頻拍症は「ドキドキ」と胸の強い拍動を自覚し突然脈が速くなるものです。持続時間が長い場合は心不全の原因となります。めまいや失神、強い胸部症状を伴う場合や、WPW症候群という先天異常を伴う場合は、命にかかわる事もあり緊急的な処置を要します。

粗細動は、心臓のリズムが全く不規則になる不整脈です。心室細動の場合は、心臓がけいれんした状態で「突然死」を招くもっとも危険な不整脈です。一方、心房細動は、日常的によく遭遇する不整脈です。脈がバラバラになり、胸の苦しさや圧迫感、恐怖感など、かなり強い症状を自覚する人もいれば、全く無自覚の人までいます。この不整脈の問題点は、症状の強さに関係なく心不全や、脳梗塞(こうそく)を起こす危険性が高い事です。

頻脈性不整脈の治療には、薬物療法と非薬物療法があります。非薬物療法には「高周波カテーテルアブレーション」があり、不整脈の発生原因となる部位を高周波で根治させる治療法です。発作性頻拍症や治療対象となる期外収縮の90%以上で根治が期待できる治療です。

最近では検査の診断装置も格段に進歩し、不整脈が心臓のどの部位から発生しているのか、カラーアニメーションにより一目で分かるようになり、アブレーションの成績も飛躍的に向上しました。また、徐脈性不整脈なら、その原因や程度によりペースメーカー植え込み術が必要なこともあり、症状を繰り返す場合は不整脈専門病院でご相談下さい。