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心臓リハビリ(2007年11月20日掲載)

小村泰雄(浦添総合病院)

運動で病気の再発予防

適切な量を測定し実施

最近、新聞やニュースなどで、メタボリックシンドロームなどの言葉をよく耳にします。肥満、糖尿病、高血圧、喫煙などが心臓や脳に良くないと言われており、特に太りすぎた場合は誰しもが一度は「ダイエットしなきゃなあ…」と考えたことがあるのではないでしょうか? 現実は仕事の忙しさや雑事などに追われて、大半の方は手軽なダイエット食品を摂取したり、おやつを少し減らすといった程度で終わっていると思います。

しかし、ここで注意してほしいのは、食品の偏りをつくってまで体重さえ減らせば良いというものではなく、大事なことは、日常的な運動習慣をしっかりつくらなければいけないということです。

ところが一度心臓の病気になった方は、運動をしたほうが良いのか悪いのか?

どの程度なら良くてどの程度から悪いのか、非常にあいまいです。

患者さんの中にもそれまで運動や旅行などを活発にされていた方が、心臓の病気になってから、運動をやめて塞(ふさ)ぎこんでしまったり、軽いうつ傾向になったりというのもよく見られます。

ここで、特に一度病気になった方が安全に運動をし、さらに病気の再発予防ができるような心臓リハビリプログラムを御紹介します。

心臓の、特に虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞(こうそく)など)という病気にとって運動は推奨されますが、運動中は以下のような心臓血管に心配な症状も起こります。

心臓の治療後の方は血圧や血液をサラサラになる薬を飲んでいることが多いと思いますが、これらが適正に効いてはじめて運動が安全といえます。

しかし、運動中に血圧や脈拍がどこまで上昇しても安全なのかは判定が難しく、俗に言う有酸素運動というレベルを理解するのは困難です。

そこで活躍するのが心肺運動負荷装置(以下、CPX)という装置です。呼吸中の酸素と二酸化炭素を測るマスクをつけて自転車をこぐという装置ですが、非常に科学的に、個人それぞれの有酸素運動を測定できます。

CPXを用いることで心臓の病気で治療を受けた方でも、現在の心臓に見合った適切な運動量というものが測定できます。

この結果を用いて、それぞれが理想的な有酸素運動を外来リハビリの中で行いつつ、服用している薬や心臓の病気について教室と一緒に開催するのがおおよその心臓リハビリのプログラムです。

現在の保険では、心臓リハビリプログラムは心臓の病気になった方の再発予防が中心ですが、病気になりにくい体をつくるという意味でも日ごろの運動習慣は大事です。病気になってはじめて健康のありがたさを知るという言葉はよく聞かれますが、病気のあるなしに関係なく運動習慣を身につけ、健康長寿を目指していきましょう。