「救急車を呼んで! AED(エーイーディー)を持ってきて!」とあなたは言えますか? 命を守るのは何も病院の中だけ、医療従事者だけではありません。
病院外の“突然の心肺停止”に対処するため、二〇〇四年七月から市民によるAED(自動体外式除細動器)の使用が認められました。これは、なぜでしょうか。
現在、救急車を呼んでから救急隊が現場に到着するまで全国平均で六分以上かかっています。心肺停止の状態の人にとって、この六分が極めて重要な意味を持ちます。AEDによる救命処置が行われた場合、早ければ早いほど、成功の可能性(救命率)が高まることが分かっています。
救急隊到着前に、現場で救命処置とAEDが使用されることで命が救われる可能性が高まるのです。
事実、一般市民などによって、AEDを使用した処置を受けた場合、救急隊到着まで処置を受けなかった場合と比べ、約七倍も「心拍再開率」が高かったことを東京消防庁が発表しました。
「心拍再開率」を高めるためには、人の集まる多くの場所にAEDが設置され、多くの一般市民が使用法を知っていることが大事になったわけです。
AEDの設置は、県内で二年前、四百台程度から二〇〇六年六月末で七百五十四台と増えつつあります。今年七月には沖縄県高等学校安全振興会から県内六十四の高等学校すべてに一台ずつAEDが寄贈され、同時に百二十人あまりの先生方に心肺蘇生(そせい)法とAEDの使用法を学んでいただきました。こうして地域に救命の連鎖が広がりつつあります。
しかし、心肺停止の多くが家庭内の発生であることから、愛する人のために一人一人がAEDを含む心肺蘇生法を学んでいただくことが重要であり、「初めの一歩はあなたから」と言いたいのです。
そこで、AEDの使用が市民に許可されるようになった翌年から医療関係者、消防関係者等の有志が集まり、行政にも参加いただき県民救急・災害フォーラムを開催し、今年三回目を迎えることとなりました。
このフォーラムの目的は、市民の皆さまへ、AEDを用いた救命処置を体験コーナーや講習会を通じて普及啓発し、災害に対する市民の皆さまの自助、ともに助け合う共助、関係機関の公助の重要性をパネル展示や体験などを通じて知って頂くことにあります。
今回は、AEDは体験コーナー(県民広場、自由参加)、AED講習会(事前予約制、定員百人)などで学ぶことができます。県内でもAEDを用いた院外心肺停止の救命例が次々と報告されており、「沖縄県における救命の連鎖」と題する講演会を九日午前十時四十五分から琉球新報泉崎ビルにて開催します。
国際通りでは、正午ごろから、那覇市消防本部による各種消防車両の展示とスタンプラリーが行われます。ご家族で参加して、楽しく学びましょう。AED講習会の申し込みは、南西医療器098(870)1515まで。
(第三回県民救急・災害フォーラム実行委員会世話人)