暑い夏がやってきました。この記事を読まれている方の中にも、少々、夏バテ気味の方がいらっしゃると思います。病院には、いろいろな診療科があります。例えば、内科や外科、産婦人科といった所が、よく認知されているメジャーな診療科で、この辺りを最初に思い浮かべる方が多いと思います。
次いで、皮膚科や眼科、泌尿器科といった個々の臓器を診察する診療科を思いつき、おそらく、放射線科を思い浮かべる方は少ないのではないでしょうか?
医者になりたてのころは、友人に、「放射線科の仕事って、何するわけ?」と尋ねられることもしばしばありました。今回は一般的になじみの薄い放射線科と私が日常的に行っている放射線治療について、少しお話したいと思います。
放射線科の仕事としては、大ざっぱなくくりとしては、以下の三つに分けられると思います。
一つ目は、エックス線写真やCT検査などの医療用の画像を解析し、患者さんや検査をオーダーした主治医に画像から得られた情報を提供していくのが、「放射線診断」という仕事になります。
二つ目は、「血管内治療」あるいは「インターべンション」というもので、少々、難しい言葉になりますが、またやひじの付け根にある動脈から細い医療用の管を入れて、これを介して、目的とする血管や臓器を治療する仕事です。
三つ目は、「放射線治療」が挙げられます。これは、放射線の特性を生かし、主にがんを治療していく仕事になります。
現在の私の仕事は、「放射線治療」が全体の仕事の約五割を占めています。
がんのある部位に対して、放射線を照射するのですが、照射の範囲や量を決めていくのが、放射線治療医の仕事になります。また、がんだけではなく、ケロイドや甲状腺眼症といった一部の良性病変にも放射線は適応になります。
数年前と比べると放射線治療外来に来られる患者さんの数は一・五―二倍近くになっているのが現状です。
もともと沖縄の場合、がん患者数が他の都道府県に比べて少ないと言われていました。
しかし、食生活の形態や生活状況が欧米化、本土化してきた結果、少しずつ増加しているようです。
放射線治療の利点は、体に傷を付けずに、がんを治療するという点が挙げられますが、治療装置の発達とともに、従来の機器では難しかった部位への放射線治療が可能になってきたというのも患者数の増加につながっていると思われます。
最近では、セカンドオピニオンとして、主治医以外の医師に診断や治療方針について意見を求める患者さんも増えており、セカンドオピニオン後に放射線治療の適応となる場合も多くなっています。
放射線科は、放射線治療機器や画像診断装置といった医療機器を介して患者さんに貢献していく仕事で、あまり目立たない存在ですが、この記事で放射線科のことを、少しでも認識していただければ、うれしく思います。