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食育のすすめ(2007年4月10日掲載)

照屋 勉(てるや整形外科)

体、心に大きな影響

継続的な活動が重要

今、「食育」がブームである。二〇〇五年七月に制定された食育基本法によると、「知育・徳育・体育」の基礎に「食育」があるとされている。

さらに、一歩進めてメンタルケアを含めた「気育」も重要と小生は考えている。沖縄県南部の具志頭小学校・具志頭中学校は、「食育」のモデル校に指定された。そこでファストフードに慣らされた子供たちにスローフードを勧め、バランスのとれた食事や朝食の重要性を指導。また、食事中のマナー(はしの持ち方など)や食材の歴史などを話し合う機会を設けたり、料理体験・農業体験を実施したり、『食』を通してより良く子供たちを育てていこうという校内研修の真っ最中だ。

『望ましい食生活ができる児童生徒の育成〜学校の食育指導の充実と学校・家庭・地域の連携を通して〜』というテーマを掲げた八重瀬町食育検討委員会においても、さまざまな職種の委員によって質疑応答がなされ、忌憚(きたん)のない意見交換が行われている。しかし、最終提言にはもう少し時間が必要というのが現状だ。

先日、テレビの番組で、“「食育」のスペシャリスト服部幸應(ゆきお)先生”が五つの『こ食』について話をされていた。まず、『孤食』―子供だけの朝食(31%)。孤独な食生活で栄養バランスも崩れ、精神面での弊害も顕著になるのである。塾帰りの車の中でコンビニ弁当というのは考えものである。

次に、『個食』―同じテーブルでおのおの違うメニューの料理を食べると、協調性のない子供が増えるとのこと。やはり、“大皿料理でみんなでワイワイ”が一番なのである。

『固食』―自分の好きな物だけ固定して食べる。「ばっかり食べ」は味覚障害になりやすいのである。

『粉食』―ラーメン・うどんなど粉を使った食事が多くなると、栄養バランスはやはり悪くなるのである。

最後は、『小食』―無理なダイエットも、カルシウム不足による骨粗(こつそ)鬆症(しょうしょう)の問題だけではなく、拒食症など精神面への悪影響も計り知れないのだ。肥満は当然だが、やせ過ぎも長生きできないようだ。

八重瀬町の「食育研究報告書」や、「食育のすすめ通信・最新レポート」を見ても、(1)栄養の偏り(2)肥満傾向(肥満沖縄全国一―羽田空港の沖縄行き出発搭乗口に並ぶ行列は肥満体の男性軍でいっぱい…。あ〜、ウチアタイ…)(3)集中力の欠如(4)すぐにキレる心の問題(5)引きこもり・不登校・いじめの問題(6)食品の安全性・食料自給率の低下・食料の大量廃棄などなど難題山積なのである。

やはり、「学校・家庭・地域の連携」が最重要課題であるし、さらに、この「食育」という活動を継続すること、広めていくことが必要不可欠なのである。

それにしても、五キロほどやせてからでないと投稿してはいけない説得力のない文章になってしまったことを、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予備軍で「肥満」に悩む小生は深く反省している。自戒を込めて「食育」をお勧めしている今日このごろなのである。