沖縄県医師会 > 健康の話 > うちなー健康歳時記 > うちなー健康歳時記2007年掲載分 > ストレスによる心身反応

ストレスによる心身反応(2007年1月9日掲載)

門馬 康二(モモクリニック)

頭痛など身体的異変も

我慢せず適切な治療を

慢性ストレスの状況におかれていると、精神的疲労に加え、体にいろいろな症状が現れます。最近はこうした問題に悩まされている人が多いのです。

生きてゆく上でストレスのない生活はありえませんが、過剰なストレスというのは、職場では、仕事の種類が不得意、仕事量が多すぎる、職場の人間関係などがあります。家庭では、子供や姑との関係や配偶者とのトラブル、借金などの金銭問題など、挙げてみると数限りありません。

わが身に降りかかってくるストレスに対して起こる反応には特徴(サイン)がみられます。反応の起こる時期によって急性ストレス反応、慢性ストレス反応に分けることが出来ます。

あまりにも明らかなストレスであったら急性ストレス反応として気分の落ち込みや不安感がみられます。こうした状況は周りにも理解され、対処を早くとることができます。たとえば、身内の事故や信頼している人にだまされてしまうなどの突発的な変化がそれに相当します。

慢性ストレス反応は、きついストレスに対してはじめは対応できますが、次第に身体的な異変が見られてきます。頭が痛い、下痢が続く、疲れが取れない、集中力がなくなりミスが目立つ、ため息をつく、微熱が続く、浮かない表情で生気感がない、涙が出てくるといったさまざまな変化です。

しかし、これらは徐々に起きてくるため、本人は「怠けている」と思われないように耐えてしまうことが多いのです。時間が経つと、朝のだるさで職場を休みがちになったりします。このように心身の異変が進行してからやっと病院や診療所に受診するのですが、それでも我慢すると結末は「自分の存在を消したくなる」といった取り返しのつかないことにもなりかねないので、慢性ストレス反応は現代社会においては大問題であると思います。

医療機関を受診すると、検査が行われ、異常がなければ精神科か心療内科での受診を勧められます。そして、専門医にみてもらい、うつ状態、自律神経失調状態であると診断され適切な対処がなされます。治療や対処がスムーズにゆけばいいのですが、治療に当たり、いくつかの問題が生ずることも少なくありません。

まず、抗うつ剤・精神安定剤・睡眠導入剤の使用ですが、胸やけ、食欲の低下などの副作用の出方に個人差があったり、効果が過剰に出すぎたりすることがあります。有効な量を見つけるまではまめに診察を受けることをお勧めします。また、精神薬に抵抗感をもち服用しないことがありますが、かえって自分を絶壁に追いやることにもなりかねないので医師の指示に従うことをお勧めします。

精神薬は、ケガをしたときのつえと同じで、必要なときに使用し、元気になったら取っていく一時的な使用ですから専門医にまかせることが早く良くなる方法といえるでしょう。

ストレス反応で心身の異変が見られた場合は、本人の治療のタイミングとその周囲の人たちの協力があって適切な治療が成り立つことをご理解ください。