インフルエンザの季節が近づいてきました。毎年十二月下旬から三月上旬にかけて、多くの方がインフルエンザにかかっています。
症状として、高熱(三八―四〇度)、頭痛、筋肉痛、全身倦怠(けんたい)感などの全身症状が出現し、のどの痛み、せき、たんなどの呼吸器症状を伴うこともあります。通常の風邪と混同されますが、インフルエンザは全身症状が強いのが特徴です。
インフルエンザウイルスに感染しているかどうかを調べるため、鼻やのどの奥をぬぐい取って検査をしますが、この検査で百パーセント判明するわけではありません。検査で陰性であっても、症状や全身状態から診断することもあるので、かかりつけの医師の診察を受けてください。
インフルエンザにかかったら、できるだけ安静を保ち、十分な睡眠と栄養を取りましょう。水分を十分に補い、脱水を予防することも大切です。健康な大人であれば数日で熱は下がりますが、解熱直後はウイルスがまだ体内に残っており、他人にうつす恐れがあるため、五―七日間は自宅で安静にしてください。感染したすべての人が抗インフルエンザウイルス薬を服用する必要はありません。医師と相談の上、その必要があれば、症状が出てから四十八時間以内に服用するようにしてください。
インフルエンザが通常の風邪と異なるのは、合併症の問題です。合併症はインフルエンザによる死亡の大きな原因になっています。高齢者や呼吸器系や心臓に持病を抱えている人は、肺炎を併発しやすいことが知られています。
小児では熱性けいれんも多く、一歳児ではよくみられます。乳幼児で、けいれんが重積したり、すぐ吐いてしまったり、元気がなくうとうとしている場合には、ごくまれですが脳症の可能性もあります。合併症が疑われる場合にはすぐに医療機関を受診してください。解熱薬の中には脳症を引き起こしやすいものもあるため、自己判断で薬を用いず、医師の指示に従うことが大切です。
合併症を併発しないために、六十五歳以上の方、呼吸器や心臓など慢性の持病のある方、気管支ぜんそくのある小児などは、インフルエンザが流行する前にぜひワクチン接種を受けましょう。病院や医療施設で働く職員もワクチン接種が必要です。よく誤解されていることですが、予防接種を受けたら絶対にインフルエンザにかからないということではありません。ワクチンの効果は合併症による死亡率や入院率を下げることです。もしインフルエンザにかかったとしても症状が軽くすみます。
合併症の危険が少ない方は一般的な予防を行います。流行期の人ごみを避ける、外出から帰宅した後はうがいや手洗いをする、室内の湿度を保つ、食事や睡眠を十分に取るようにしましょう。
冒頭、流行時期は十二月から三月と書きましたが、沖縄県では昨年は真夏に、今年は四―六月にインフルエンザの流行を経験しています。そう、夏でもインフルエンザがはやるのです! 常に予防を怠らず。