背骨が横方向に異常に曲がってしまう脊柱(せきちゅう)側彎(そくわん)症は、小中学生の女子に見つかることが多い。治療がいらない軽症例が多いが、重い場合は進行を止めるため、金属棒を入れた背骨の固定手術が必要になる。この治療法には背骨の成長を止めてしまう問題があったが、棒を定期的に伸ばし、成長を妨げないグローイングロッド法が開発され、注目を集めている。
皆さんの周りに透析を受けていらっしゃる方は、いないでしょうか? 年々、透析の患者さんは増え続けていて現在、日本の透析患者は二十五万人を超え、人口五百人に一人が透析を受けている計算になります。毎年一兆円以上の医療費を要することから透析導入を減らすことが重要な課題になっています。
さて、新たに透析をはじめられる患者さんで、腎臓が悪くなった原因をみてみますと、最近では糖尿病が一番多い原因となっていますが、二番目に多いのが慢性腎炎という病気です。この慢性腎炎という病気は慢性的におしっこにタンパクが出るという特徴があり、腎生検という特別な検査でいくつかの種類に分けることができます。実際は、その多くがIgA腎症という病気です。つまり、糖尿病の次に透析の原因として多いのが、このIgA腎症といえます。
IgA腎症という病気は、全く症状のない方が、たまたま学校や職場の検診で血尿とタンパク尿を同時に指摘されて、はじめて見つかることが多い病気です。以前は、症状もほとんどなく進行が遅いため、あまり心配しなくてもいい病気だと考えられていました。
しかし近年、二十年から三十年経過をみてみると40―50%の患者さんが腎不全になって透析をしているという実態が明らかになってきました。この病気で透析になった患者さんに話を聞いてみると、むかし若いころにおしっこの異常があることを指摘されて、一時病院に通ったりしたものの進学や就職などで忙しくなってしまい、通院をやめてしまったというケースが多いことに気づかされます。
腎臓の働きがかなり低下するまでほとんど症状がないために、病気があることを忘れてしまったり、あるいは、治ってしまったと勘違いしてしまう場合が多いようです。もし、きちんと病院に通っていたら、治療によって病気の進行を抑えることができた患者さんも多くいたと予想されます。ただし、昔は治すことは不可能で、お薬や食事療法で病気の勢いを抑えて上手に付き合っていくしかないと考えられていました。
しかし現在では、IgA腎症に対してステロイドを点滴で比較的大量に投与する方法と扁桃(へんとう)腺(せん)をとる手術を組み合わせる治療によって、約60%の患者さんが半年から一年後に完全におしっこの異常が消えてしまうという非常に画期的な成績が得られています。おしっこの異常が消えた患者さんでは、その後、腎臓の働きが悪化しないことが分かっていることから、かつては治せないと考えられていた病気が完全に治せる可能性がでてきたといえます。
もともと、この病気が数十年単位で進行する病気であることを考えると早期発見、早期治療によって早々と病気とは縁を切った方が得策ではないかと考えられます。おしっこの検査で血尿とタンパク尿を同時に指摘された方は、たとえ症状が全くなくてもかかり付けのお医者さんに一度相談されて、必要があれば専門の先生に診てもらうことをお勧めします。