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セカンドオピニオン(2006年5月30日掲載)

戸板 孝文(琉大医学部付属病院)

がんの治療方針決定に有効

主治医と相談し受診を

もし皆さんやご家族ががんの告知を受けてしまったとき、皆さんはどうしますか。主治医からは病気の状態とこれからの治療の予定が説明されるでしょう。しかし、それで治療を簡単に決めてしまってもよいでしょうか。さらにその説明がよく分からなかったとき、納得できなかったとき、どうしますか。いろいろ聞いたら悪いからそのまま任せようとか、立派な病院だから心配ないだろうとか、簡単に考えてはいませんか。

例えば何か大きな買い物をするときに皆さんはどうしますか。雑誌などで情報を収集し、店でも店員によく説明してもらい、さらに一番安い店、サービスのよい店を選んでから購入するのが普通ではないでしょうか。ましてや自分や家族の体のことです。簡単には決められないと思います。最近のがん治療法の進歩は著しいものがありますが、まだまだ手ごわい病気ということに変わりはありません。

さて、セカンドオピニオンという言葉をご存じでしょうか。セカンドオピニオンとは、主治医以外の医師に診断や治療方針についての意見を求めることで、特にがん治療ではとても重要だといわれています。複数の医者の意見を聞くことにより、多くの知識、考え方、そして何よりも多くの治療方針を知ることができます。その中から、自分で最も納得できる治療法を選択することができるようになります。

現在多くの病院でセカンドオピニオンを求めることができます(琉大付属病院でもセカンドオピニオン外来を行っています。www.hosp.u―ryukyu.ac.jp)。

ただしセカンドオピニオンを求めるにあたっては、大事な約束ごとがあります。それは、今の主治医にしっかりとその旨を伝えて紹介状を書いてもらうことです。検査結果やレントゲンのフィルムを借りることも大事です。気兼ねをして主治医に内証で手ぶらでいらっしゃる患者さんもいますが、これでは正確な意見を得ることはできません。何人もの医者や病院を渡り歩き、同じような検査を何度も受けるはめになる「ドクターズショッピング」になりかねません。

主治医からは治療を急いだ方がいいと勧められる場合があるかもしれません。しかし、もちろん例外はありますが、たいていは数日間で取り返しがつかないところまで悪くなるということはほとんどないはずです。納得しないまま不安を抱え治療を受けるよりもセカンドオピニオンを求め、納得した上で、治療を選択することの方がはるかに治療にいい影響を与えるはずです。

最後に「市民のためのがん治療の会」というがんの患者さんがつくった会を紹介します(www.com―info.org)。ここからNHK「がんサポートキャンペーン」のページ(www.nhk.or.jp/support)へもリンクされます。セカンドオピニオンを含めたがんの情報が分かりやすく書かれています。参考になればと思います。