暖かい沖縄でも、冬は暖房器具(ストーブ、こたつ、湯たんぽなど)を使用する家庭が増え、熱傷(やけど)で来院される患者さんも多くなります。
やけどをしてしまったときにはまず冷やすことが大切です。手や足には水道水を流しっ放しにして十五分ぐらいは冷やすと良いでしょう。顔や体など水で流しにくいところはぬれたタオルを交換しながら冷やします。最初に冷やすことによってやけどが深くなるのを防ぐことができます。まれに湿布類を貼(は)って来院される方がいますが、湿布は刺激があり、また、はがす時に皮膚が一緒にはがれてしまいますので絶対に避けてください。
十分に冷やした後は、軟膏(こう)や特殊なシールを貼って乾かさないように治療します。やけどは乾くと痛みますし、また、深くなってしまう場合があるからです。家庭での応急処置では食品用のラップを使っていただくとよいでしょう。傷を乾かさず、さらにはがすときにくっついて痛い思いをすることもありませんので優れものです。
アロエの葉を貼る行為は避けてください。葉の細菌が皮膚につき、細菌が繁殖して悪化させる危険性があるからです。水ぶくれは自分では破らないでください。水ぶくれの膜は保護膜となり、さらに、その内容液が治癒を促進する成分を含んでいるからです。清潔に保つことは大切ですが、消毒をする必要はありません。消毒は痛いばかりでなく傷に対しても害があります。
受傷原因によっては、やけどをしたときに水ぶくれができていなくても、翌日に水ぶくれができることもあります、長時間の湯たんぽやこたつでのやけどは低温熱傷となり、時間の経過とともに通常のやけどよりも深くなることがあります。深いやけどでは皮膚移植が必要になることもありますので、早期に専門医に見せた方がいいでしょう。
やけどが治ったあとに注意しなくてはいけないのが色素沈着です。色素沈着が起こると、せっかくきれいに治ったやけどでも、茶色く「しみ」として残ってしまいます。色素沈着を予防するには、自己判断で治療せず、早期に適切な治療を受け、さらに日焼けをさせないことが重要です。
また、深いやけどの場合には、後々ひきつれやケロイドになることもあります。ケロイドやひきつれは治癒後徐々に生じてきます。手や足などであれば運動の妨げになりますし、もちろん見た目に気になるということもあるでしょう。
やけどは予防が大事であり、特に小さなお子さんがいるご家庭では、やけどをさせない環境づくりが重要です。それでも、もし、不幸にしてやけどをしてしまった場合には、あわてず、応急処置の上、できるだけ速やかに形成外科医または皮膚科医の診察を受けましょう。