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マンモグラフィ検診(2005年11月22日掲載)

玉城 信光(那覇西クリニック)

乳がんを早期に発見

米で検査増え死亡率減

「マンモグラフィ」。最近よく耳にする言葉です。

乳がんの検査をするエックス線の機械なのです。なぜ今マンモグラフィという言葉が飛び交っているのでしょうか?

最近、日本の女性の中で乳がんという病気が多くなってきたのです。二〇〇三年に乳がんで亡くなった方は全国で九千八百八十四人です。もうすぐ一万人にのぼろうとしているのです。沖縄でも八十人の方が乳がんで亡くなりました。

乳がんの発生は沖縄で毎年五百二十人ほどです。乳がんは幸いなことに死亡率が低く、早期に発見できれば治せるがんなのですよ。ちなみに私たちのところで治療した千百七十五人の乳がんの患者さんのなかでリンパ節に転移のない早期の状態で見つかった方は六百八十人(57・9%)です。その方々の中で再発した方はわずか4%なのです。リンパ節に転移のない早期発見がいかによいかがわかると思います。

ただ残念なのは早期発見の方がまだ全体の60%ぐらいでしかないことです。これが80%になれば「誰々さんが乳がんで亡くなった」という言葉は聞かれなくなると思います。

このように乳がんを早期に発見する機械が「マンモグラフィ」なのです。おっぱいをはさまれたことがありますか。おっぱいを両方からはさんでエックス線を撮るのです。「はさまれておっぱいが痛いので検査したくない」という人もいますが、どうか、少しだけ我慢してください。おっぱいの厚みがうすくなるほど、小さな、小さながんを見つけることができるのです。

去年「おっぱい撮影の技術講習会」を県内で開きました。上手な撮影のできる放射線技師がたくさん育ちました。

「放射線は怖くて嫌いだ」という人もいるかもしれませんが、マンモグラフィの放射線量は妊娠をしている人が受けても、赤ちゃんに影響がないほどですから安心してください。

マンモグラフィによる乳がん検診では手に触れない乳がんが見つかるのです。手に触れないうちに見つけると、ほぼ100%治せるのです。

アメリカでは二年間で女性の80%がマンモグラフィ検診を受けるといわれています。おかげで日本人の四倍ほど乳がんの発生するアメリカでも死亡率が減ってきているのです。みんなでマンモグラフィ検診を受けようというキャンペーンが効果をあげているのです。

沖縄県ではどうでしょうか。まず視触診による乳がん検診をうけている人は16%ぐらいです。人間ドックで検査する人を入れても35%ぐらいしか乳がんの検査を受けていないのではないでしょうか。その中でマンモグラフィを受けている人は大変少ないと思います。

しかし、マンモグラフィも万能の検査ではありません。おっぱいの硬い人や三十代の若い人では乳がんを見つけきれない場合もあります。そのような場合には超音波というすばらしい機械があるのでご心配には及びません。

若い人は超音波、四十代以上はマンモグラフィの検診を受けましょう。