仕事を終え、夕食も済んでやっとリラックスタイムと思ったら、足がむずむずするような違和感を覚えるようになった。それは、時にほてりであったり、ありが這(は)っているようであったり、ぴりぴりする感じなど。足をさすってばたばたすると一時的によくなるが、安静にするとまた起こってくる…。このような症状に悩んだことはありませんか。
これは、むずむず足症候群という病気の症状です。その名の通り、足がむずむずしてきて、じっとしていられなくなってしまうのです。実はこの病気の人は意外に多く、百人中五―八人にみられますが、適切に診断されていないことが多いようです。
夕方から夜に悪化するため寝付きが悪く、またいったん寝ても、夜中目覚めたときにまたむずむずして寝付けなくなり、いらいらしたり気分がふさいだりします。そのため、不眠症やうつ病という診断を受けていることがあります。
むずむず足症候群は、年齢を問わず起こりますが、特に高齢者に多く、また、慢性腎不全で人工透析をうけている人や貧血がある人、妊娠、脊椎椎間板(せきついついかんばん)ヘルニア、糖尿病、アトピー性皮膚炎の方に起こりやすいという特徴があります。
むずむず足症候群がなぜ起こるのかはまだ十分にはわかっていません。次のような場合、病気の可能性があります。
・寝入りばなや夜間に目が覚めたときに手足(特に足)がむずむずしたり、ぴりぴりしたりする。
・寝床に横になると足がほてってきて、足を布団から出して冷やしたり、冷水をかけたりすると寝つきがいい。
・寝床に横になると落ち着かず、足をこすり合わせたり、歩いていたりするほうが楽。
・睡眠中、足が引っ張られるように動いて目が覚める。
・眠っている間に布団をけったり跳ね上げたり、足が勝手に動いたりするといわれる。
・寝相が悪く、朝起きてみると、シーツや布団がぐちゃぐちゃになっている。
・眠りが浅く、眠った感じがしない。
・朝には症状がないか、軽くなる。
むずむず足症候群は夜中に足がむずむずするだけでなく、寝ている間に足がぴくぴくする発作を繰り返すことが多く、睡眠時無呼吸症候群の診断にも使用される睡眠検査(PSG検査)を受けると診断に役立ちます。
治療は、原因によって異なりますが、鉄剤を飲むと症状が改善する場合があります。人工透析を受けている患者さんでは、抗けいれん剤やパーキンソン病に使用する薬などで治療をします。
足のぴくぴくやむずむずがあり、不眠や日中の眠気でお困りの方は一度睡眠検査を受けることをお勧めします。適切に診断・治療がなされて、良い睡眠をとれるようになるとうれしいですね。