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五十肩(2005年9月13日掲載)

山城 千秋(山城整形外科眼科医院)

痛みの原因さまざま

予防に起床後の体操を

人体の関節の中で肩関節ほどあらゆる方向に動く関節はありません。それだけに複雑にできていて障害も起こりやすくなっています。「肩」は三個の骨で作られています。扁平(へんぺい)で三角形の形をした肩甲骨と鎖骨と上腕骨の三個の骨ですが、複雑な肩の運動をするためには多くの筋肉群と靱帯(じんたい)や腱板(けんばん)、関節包、さらにいくつかの関節が複合されて成り立っています(肩関節の複合運動)。

ひとくちに肩の痛みといってもその原因はさまざまで、肩関節以外の原因、例えば、首や胸背部の神経の障害が原因ということもあります。肩の痛みの程度も、ある日突然痛み出し、夜も眠れず、肩が動かせない状態や、じわじわと徐々に痛み出し、次第に動かせなくなったり、動かすことはできるが角度によって痛んだりなど多様です。肩関節はいくつかの関節の複合運動によって成り立っているので、そのうちの一つの関節に異常があると肩関節は正常に動かなくなり、肩痛が発生します。

「五十肩」は中年以降の男女で、原因や痛んだ個所がはっきりせず肩関節の慢性痛と運動障害がみられる疾患です。症状は肩痛から始まり、初期には動作時痛があり、やがて安静時にも痛むようになる。そして肩関節が固くなり運動に障害を来します(肩関節の拘縮(こうしゅく))。

やがて痛みはなくなり、肩関節の動きも徐々に回復してきます。多くは六カ月―一年程度で自然に治りますが、痛みのために肩を動かさないでいると関節がますます動きにくい拘縮した状態になり、完治するのに時間がかかったり、場合によっては手術が必要になったりすることもあります。早めに整形外科を受診して、いわゆる五十肩か、あるいは他の原因による肩痛なのか的確な診断と治療を受けて早く痛みを除き、関節の拘縮が残らないようにしましょう。

治療は予防が第一です。五十歳を過ぎたら起床したとき布団の上で軽い体操で全身の関節の動きを良くすると同時に、ゆっくりと肩を挙上して肩の筋肉のストレッチングをするよう心掛けましょう。日常生活では肩を冷やさないことが大切です。夏場のエアコンによる肩の冷えに気をつけましょう!