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衝動的イライラ不勉強症候群(2005年8月16日掲載)

鍛 司(かじまやリゾートクリニック)

危険な糖分の取り過ぎ

食事通じて心の交流を

皆さんは「衝動的イライラ不勉強症候群」なる言葉をご存じですか。最近の報道の中で、特に若年者の犯罪や、粗暴な行動、社会や学校の先生方への注意の逆恨み等、さらに家庭内暴力とさまざまな記事が後をたちません。このような心の荒れた特異症状を現す子供は、一九七〇(昭和四十五)年ごろから世界的増加を示し始めたとされています。これは、子供たちの発育過程の食事に問題があるとされています。そこで、食事によるこれらの症状を改善することは可能なりや…!

わが国では、タール系色素は約二十五種類あり、食品への添加が許可されています。このタール系とは、赤色何号とか、黄色四、五号など。グレープジュースには青色一号や黄色五号、赤色二号とかが添加されています。この二十五種類の内、十四種類が発がん性であることが判明しています。

例えば、アメリカ(メリーランド大学)のカエルの実験では、ほんの微量の赤色三号を投与すると、神経末端から神経伝達物質であるアセチールコリンがたれ流し状態で分泌され、このことは、神経細胞に障害を与え、思考や情緒のコントロールができにくくなるわけです。といえば、お分かりですね。

現代社会は「飽食」の時代と呼ばれ、食べる物が無くて、朝食を取らないわけではありません。では、朝食を食べない子供たちは、どんな身体変化がくるのか。そのまま学校へ行くと、空腹感から、眠気を催し、ぼんやりと集中できず、根気はなくなり、粘り強さがなくなります。

これはなにも朝食に限らず、夜ふかしをする子供たちにも当てはまります。それに無関心な、特に母親のしつけ愛情、関心度が非常に注目をあびています。また、中学生になると、第二次反抗期とも同時期にあたり、朝食を抜いた上に、清涼飲料水、菓子多食がさらに非行へとエスカレートするともいわれ、このことから、イライラし、家庭内暴力やいじめへと発展するといわれています。

糖分を取ることは、子供たちのエネルギー源として、また心をなごませ、フラストレーション解消に重要な要素でもありますが、取り過ぎは危険です。日本人の砂糖の平均摂取量は、一日約七十グラムとされていますが、缶ジュース一本で二十―三十グラムの糖分があるわけですから、推して知るべしです。

では糖分の取り過ぎは何故いけないのか。体内に糖分が入るとまず、インスリンが分泌され、血糖値を下げます。その結果は、攻撃ホルモンであるアドレナリンの大量分泌が起こり、イライラを爆発させるもととなるわけです。このほか、低血糖症による子供たちは、ノイローゼ、うつ病、自閉症や不登校等の原因になるともいわれています。

さてこれらは、いずれも食生活の面から、子供たちの発育過程への影響を述べましたが、ほんの一部です。これからは、ただちに、肉食の多食をさけ、野菜、海藻を多く取り、過度の糖分摂取の抑制をおすすめします。

小中高校生の校内暴力については、わが国では、八三(昭和五十八)年度をピークに下火になっていることも良い傾向といえます。しかし、これだけでは何の解決にもなりません。

最も重要なことは、子供の小さいころから、朝食をつくり、夕食は一家で囲み、食事を通じて子供たちと心をかよわせることこそ大事な要素ではないでしょうか。

※参考図書=「PEP食べる健康大辞典」