うりずんから梅雨を経て、いよいよ本格的な夏に入りました。このころから発生する病気に熱中症があります。熱中症は注意さえすれば防げる病気です。今回は、熱中症が起こる理由と対策を、質問形式で考えたいと思います。
―熱中症はどうして起こるのでしょうか?
人間が生きている間は体内で代謝が行われ、熱が発生します。この熱を逃がさなければ人間は生きていけません。熱を逃がすやり方として、水分を蒸発させる蒸散、直接逃がす輻(ふく)射や、風の流れによる対流があります。つまり、熱を逃がすには体の水分、気温や風が関係しているわけです。運動中に水分を取らなかったり、気温が高くなったり、風のない日は熱中症が発生しやすくなります。蒸し暑い日に、水分を取らないで動き回れば、熱中症が起こりやすくなります。
―熱中症にならないためにはどうすればよいのでしょうか?
熱中症が起こる理由が分かれば、対策は簡単です。
一つは、蒸し暑い日には無理をしないことです。蒸し暑い日は、体の熱を逃がすのが難しいのです。二つ目は、夏場は水分をたっぷり取ることです。市販のスポーツドリンクは、汗で失われるナトリウムやカリウムも含まれていますので重宝です。三つ目は、汗をふき取ったり、汗が蒸発しやすい風通しのよい服装にすることです。四つ目は、体を冷やすことです。五つ目は、熱中症が起こりやすい体調の時は、運動を控えることです。
わたしが毎年調べた結果では、梅雨明けに熱中症の発生が増えます。その理由はいくつか考えられます。その一つは、梅雨明けの時期は、気温が急に上がるのに対して、体がまだ慣れていないことです。この時期は運動量をゆっくり増やします。そうしますと、血液量が増えて発汗しやすくなります。また、熱中症になった方は、点滴で元気になる方がほとんどです。つまり、水分の補給が足りないのです。
こまめに、水分を補給してください。次に、汗をふき取ることは、発汗を促すために必要です。汗がこびりついていると、体熱を逃がすことができません。頻繁に冷たいタオルで全身をふきましょう。運動でバテやすかった人でも、驚くほど長持ちします。また、夜更かしや酒を飲んだ状態で運動しないことです。このような状態では既に脱水が起こっていますので、熱中症を起こしやすいのです。
―熱中症に早く対処するにはどうしたらいいですか?
炎天下で仕事や運動をしていて、次の症状が出た時は注意しましょう。めまいがする。気分が悪くなる。吐き気がする。吐いたりする。足がつってくる。これらはいずれも、熱中症の軽い段階です。この時点ですぐ横になり、冷たいタオルで体をふいてあげてください。
意識がおかしい場合は、すぐ病院に連れて行きましょう。熱中症の重い段階です。点滴や、急速に体を冷やすクーリングウエアや、体外循環による冷却が必要な場合もあります。注意すれば防げます。ぜひ、正しい知識で、楽しい夏を送ってください。