※二〇〇二年治療管理ガイドラインを参考に、喘息(ぜんそく)の小児の総数は増加しています。しかし、重症長期入院を要する小児は減っています。これは薬剤や治療法の進歩によるものです。なかでも重症度によって治療の方法がガイドラインとして示され役立っています。世界的に共通のガイドラインが作られ定期的に改定されています。二歳以下の乳児喘息はとくに増えています。
いつも迷うのは救急受診のタイミングです。今までで一番強い症状、あるいは何か変だという時は救急へ連れて行ってほしいものです。主治医に勧められてネブライザーを購入した家庭もあると思います。三万円前後しますが、救急に行く数は減るので重宝です。
薬を常備しておくと夜間の発作に役立ちます。救急室で常備薬までは処方してくれませんので、発作のいいコントロールはできません。主治医を持つ必要があり、救急受診のタイミングなどを教えてくれます。幸い沖縄本島内は夜間救急対応の病院に三十分以内で行ける場所がほとんどです。
小発作とは喘鳴が軽く聞こえ、中発作は陥没呼吸が見えます。胸を見ると百メートルを全力で走ったように助骨が動くような苦しい呼吸です。大発作は起坐(きざ)呼吸といって寝ていることができません。発作が強く病院やクリニックで受診しますと指先に洗濯バサミのような物をつけます。パルスオキシメーターといって酸素濃度を簡単に測れ、連続して計測します。クリニックに常備されるようになりました。救急車にはもちろん搭載されています。
走り回ったり体育をしたりすると喘鳴が起こることがありますが、これを運動誘発喘息といい十五分から三十分休むと落ち着きます。誘発する子は中等症、重症に多いといえます。水泳は誘発しにくいスポーツです。小学生までに水泳で体を作り、中学生から好きなスポーツをする子をたくさん見てきました。体育の時間前や走る前にウオーミングアップをする、あるいは薬を服用すると起きにくいことがわかっています。
大人ではステロイド吸入が当然な治療として使用されます。年齢によりますがネブライザーの予防薬使用が多いのが小児の現状です。しかし、小児もステロイド吸入が増えてきました。今後、もっと使用されるでしょう。ガイドラインで症状により使用が勧められています。
すべての予防接種に関して接種後三十分間はアレルギー反応が起こることがあるため、院内で経過を観察します。卵アレルギーがあるとインフルエンザ予防接種ができないといわれることがあります。卵を食べて強いアレルギー反応のある子はツベルクリンのような皮内テストをおこない、反応があれば分割接種法を勧めています。
緊急時の準備を整えておくことはクリニックにとって必要な条件です。わが子の治療は主治医と相談しながら、よりいい方法を学んでいくことが良くなっていく近道といえます。
※「二〇〇二年小児気管支喘息治療管理ガイドライン」(西間三馨監修)