皮膚科医となり、はや十七年が過ぎようとしています。大学病院と県立病院で約十四年間勤め、平成十四年に開業しました。その間の日々の診療を通して感じることは、皮膚科の診療内容の認知度が低く、どのような症状の時に受診をしていていいのか迷っている患者さんがまだ多いということです。そこで今回、皮膚科受診についていろいろアドバイスになればと思い書かせて頂きます。
去年の夏、足爪の水虫には、のみ薬があり皮膚科専門への受診をすすめるテレビコマーシャルがありました。それ以前は、つけ薬を主体に治療していましたが放映されている期間は特に足爪の水虫の患者さんが増え、ほとんどの方が内服薬を希望されました。さらに毎年十一月十二日は「いいひふ」ということで平成元年から「皮膚の日」と日本臨床皮膚科医学会で定められています。そのため、その日は全国的に皮膚科のキャンペーンを行っていて新聞などにも掲載されています。また最近になって、やっとアトピー性皮膚炎は皮膚科の疾患ですと、はっきり、うたうようになりました。
前記したように皮膚科医にとって常識的なことが一般の方には、ほとんど伝わっていないのが現状だと思います。これは私を含めた皮膚科医のアピール不足が原因であり反省させられるところです。
当クリニックの職員は皆、初めて皮膚科専門の医療に携わっています。彼女らが意外に感じる疾患としては軽い火傷、ケロイド、爪や陰部の疾患などがあります。さらに年齢的にも生後数日から百歳以上の高齢者まで、かなり広い年齢層に及んでいることも意外のようです。実際、皮膚科疾患は内科や外科などの他科との疾患と重なるものがたくさんあります。
私は今でも皮膚科は内科系なのか外科系なのかはっきりせず中間的な存在であると考えています。基本的には年齢に関係なく皮膚表面に何らかの症状があれば、ほとんどが皮膚科受診の対象になると考えます。また他科で皮膚疾患の治療を受けていてもセカンドオピニオンのつもりで受診されてもいいかと思います。
最近、レーザーやピーリングなど美容的な治療もされている皮膚科の先生が増えています。以前、美容的な治療は皮膚科の対象外と考えていました。しかし現在では皮膚科医も積極的に取り組むべき治療法の一つだと考えています。
最後に、受診時に注意してほしいことをあげます。?受診前まで使用していた、のみ薬やつけ薬を教えてください(「お薬手帳」などを持参してください)(1)受診前のつけ薬はつけないでください(2)転院時は、なるべく前医の紹介状をもらってください(3)高齢者は、なるべく家族と一緒に受診してください―以上です。まだまだ伝えたいことはありますが今回、皮膚科受診についての、いいアドバイスになれば幸いです。