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白内障(2005年2月15日掲載)

新垣 均(アラカキ眼科)

視力回復 網膜機能に左右

病状把握し手術検討を

「昔はよく見えていたのに」…。目が見えなくなる、それがどのような原因であれ、日常生活に大きな不安をもたらすことは間違いありません。中でも白内障は、いずれは誰でも直面する目の老化から来る病気です。

わたしたちは、目に入ってきた光を水晶体で屈折させ、網膜(光を感じる神経の膜)にピントを合わせることによって、物を見ています。その水晶体が白く濁る病気を白内障といいます。個人差はありますが、八十歳以上ではほとんどの方が白内障になっています。

白内障になると、曇りガラスで見ている感覚になります。「かすむ」「まぶしい」などの症状が表れ、視力がだんだんと低下します。目のかすみは老眼の症状とよく似ていますが、白内障は眼鏡をかけても物がよく見えません。

さて、老化現象である白内障は治すことができるのでしょうか?

それは可能です。手術で治すことができます。手術は濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズという人工のレンズを埋め込みます。最近は手術技術や眼内レンズの材質も良くなり、短時間で痛みもなく、安全に手術ができます。実際に「こんなにはっきり見えるなら、もっと早く手術を受ければよかった」という患者さんも多く、近ごろは早めに手術を行う傾向にあります。

だからといって「白内障=すぐ手術」という短絡的なものではありません。確かに、白内障が強くなると手術が難しくなったり、目の状態によっては早めに手術をしないといけない人もいます。しかし、多くの場合、急を要するものではなく、日常生活で不自由を感じるようになったら手術を検討するのがいいでしょう。

では、手術をしたら本当に視力は回復するのでしょうか?

良くなります。ほとんどの人が、手術翌日から劇的に見えるようになります。ただし「網膜の機能が良ければ」という条件を満たす必要があります。実際に物を見ているのは網膜です。白内障が治った後の視力は、網膜の機能に左右されます。例えば、網膜の力が1・0であれば、1・0の視力が出るし、0・5であれば、どんなに手術をしてもそれ以上の視力は出せません。網膜に病気があると視力が出ないこともあります。

老化は誰にでも起こります。今後も白内障を患う人は増えると予想されます。そして多くの人が、白内障手術の恩恵を受けるでしょう。しかし「白内障=すぐ手術=よく見える」という方程式は、誰にでも当てはまるものではありません。

手術の時期や視力の回復は人によって違います。目の状態によっては、手術の難しい人もいます。手術を受ける際には医師とよく相談し、病状をよく理解した上で、手術を検討することが大切です。