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スポーツ障害(2005年1月25日掲載)

浦崎 貴志(浦崎整形外科クリニック)

日ごろのストレッチが大切

県内で肩関節鏡手術も可能

肩にはいろいろな痛みや違和感がありますが、まず、肩のつくりをお話しします。肩(肩関節)は、上腕骨(二の腕の骨)と、肩甲骨(背中の骨)で作られる関節を鎖骨という細い骨でクレーンのようにつり下げ、自分の腕(重り)を支えるようなつくりになっています。

さらに、大きな上腕骨頭(二の腕の骨の頭)を小さな肩甲関節窩(受け皿)で受けていますので、周りの関節包(関節の袋)、靭(じん)帯(すじ)、筋肉が協調して関節を支えています。この協調が崩れると、いろいろな痛みや違和感が生じてきます。

肩のスポーツ障害でよくみられるものに投球障害があります。投球とは言いますが、必ずしも野球だけではなく、物を投げる動作や肩を大きく回す動作をするスポーツ(野球・水泳・テニス・バドミントン・バレーボールなど)にみられます。それぞれのスポーツで障害部位は違いますが、野球を例に挙げますと、特にピッチャーの投球障害が多くみられます。

小学生のころから野球を始め、中学、高校、大学、職域と長年続けられた方の投球する肩の後ろに、投球動作の始めや加速期、投球後に痛みが生じ、時に投球後の腕のしびれを感じる場合があります。後ろの関節包が硬くなり、スムーズな投球動作ができなくなることで、肩の軟骨や靭帯を傷めてしまうことが原因と考えられています。症状が重くなると投球時だけではなく、着替えや運転など日常生活でも困るようになります。

予防としては肩の後ろを中心とした日ごろのストレッチ運動が大切です。日常生活でも痛みが出るようになった場合、治療としてまず三―六カ月のストレッチを中心としたリハビリテーションを行います。必要に応じて肩のレントゲン撮影や、磁気共鳴画像装置(MRI)検査を行い障害部位を確認します。また、のみ薬や注射薬で痛みを和らげリハビリテーションを行いやすくします。

リハビリテーションや薬でも痛みが治まらず、スポーツや日常生活の支障が続く場合は、手術による治療を行う場合があります。手術の内容は肩の障害部位によって違いますが、硬くなった関節包を緩めるのと同時に、傷んだ軟骨や靭帯を修復するという目的で行われます。最近は、県内でも細いカメラを使用しながら、細い機器で手術を行う肩関節鏡手術を習熟した整形外科専門医が手術を行い、入院期間も二―三日で済むようになっています。

スポーツを長年続けていらっしゃる方で、肩の痛みを感じている方は、早い段階で整形外科医の診察を受けることをお勧めします。早い段階で痛みの原因が分かれば、リハビリテーションや薬で改善し、さらにスポーツを続けられる可能性があります。