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活動の勧め(2004年12月7日掲載)

砂辺 完和(北部地 区医師会病院)

運動で筋力低下避ける

「スーパー老人」を目指そう

北部地区は、面積では本島の約二分の一を占めていますが、人口は約一割で、そのう ち六十五歳以上の高齢者は、少ない名護市でも14・4%、多いところでは30%にもな ります。ちなみに、県平均は13・8%なので、この地域には高齢者が多いことが分かり ます。

ですから自然と整形外科には、加齢によるといわれている変形性関節症、変形性脊椎(せ きつい)症、骨粗しょう症などによるひざ、股(こ)関節などの関節の痛みや、腰の痛み を訴える方が多く来られます。もちろん、投薬やリハビリテーション、場合によっては手 術も行います。ここ数年、面白いことに気が付きました。一つは、人工膝関節の手術を受 ける方で、関節の変形が非常にひどく、今まで日常生活をやってこれたのが不思議に思え るような方が比較的多いこと、また、通院中の方でも、レントゲンだけを見ると絶対に手 術が必要だと思えるのに、一―二カ月おきに話だけをしに来られ、あまり困っていないよう な方も多くいます。

このような方に、よく話を聞いてみると、ほとんどの方が一人暮らしか、夫婦二人だけ で生活しています。天気が良ければ畑仕事や庭の草取りなどで体を動かし、ゲートボール、 プールなどで楽しみ、それに家事と、一日中動いているようです。ある本によれば、高齢 者にとっての体力とは、自立して生活する能力―家事をしたり、買い物に行ったり、活発に レジャーを楽しんだり、病気やけがに抵抗できる能力―を意味します。しかし、絶えず継続 していないと急速に失われてしまう条件付きの健康状態とのことです。

活動的な人でも、三十歳代から筋肉が衰えはじめ、女性では閉経後の三年間に筋肉量が 急速に減少するそうですが、年齢に関係なく、運動により筋力の低下や、筋肉量の減少は 避けられ、たとえ年をとってから運動療法を開始しても、筋肉の衰えは目立って遅くなり、 場合によっては元の状態に戻ることもあるそうです。

関節の柔軟性にしても同じようなことが言えます。また、骨に関しても、強くなるため には筋肉の収縮で引っ張られて刺激され、その上に荷重がかかることが必要です。それで 積極的に動くこと、さらにできれば運動をすることが、いろんな痛みを和らげ、不安など を減らして意欲的になり、自立した生活が送れるようになるための秘けつになると思いま す。

少なくとも一日に三十分ぐらいは歩き、次第にゲートボール、水泳、水中での運動など の、無理なく継続できる運動を増やしてみてください。最近はパワーリハビリも知られる ようになっています。それだけ、高齢者の運動に対する考えも変わってきています。

ただ、胸苦しさ、息切れ、筋、関節の痛みの増強などがあれば、休むなり、中止してく ださい。われわれは、九十歳すぎても元気な方を「スーパー老人」と呼んでいます。みな さんも目指して活動しましょう。