膠原(こうげん)病とは、人間の体の中の細胞を支えている膠原繊維が変性する病気 で、次の六種類の病気―(1)関節リウマチ(2)全身性エリテマトーデス(3)強皮症(4) 皮膚節炎(5)結節性多発動脈炎(6)リウマチ熱―の総称です。
膠原病の一種である全身性エリテマトーデス(SLE)は、医学的には難治性の病気で、 行政側は治療研究の対象と位置付け、特定疾患との名称で医療費の自己負担は免除されて います。県では八百二十人(全国五万三千四百二十四人)の方が登録されています。
確かに二十年前、三十年前には不治の病として死を宣告されたのに等しく、死を待つの みの療養生活を余儀なくされていました。それは、一般的に病気の実体が広く十分に理解 されずにいたためで、病院を点々とはしごした揚げ句は手遅れでした。重症化してからで は手遅れで、火の消しようがありませんでした。このような例が数多くあったのです。中 には病院をあきらめ、ユタを訪問した方もおりました。また、入院中の患者のおはらいの ためか、ユタが病院を訪ねてきた方もいました。さらには東京の専門医を受診した方もい ました。
最近では、この病気も一般的に広く理解されるようになり、また専門医も増えつつあり ます。したがって、早期発見、早期治療の原則が周知されるようになりました。早期発見 例、軽症例は治癒可能になりました。また、重症例でも早期に適切な治療を受ければ回復 可能で死を免れ、治療を継続しながら日常生活に支障なく過ごせるようになりました。お おざっぱに推測するに、年間10%が治癒し、10%が不幸な転帰を取っているのが実情 です。後の80%の方は、必要最少限のお薬を服用しながら、普通の日常生活を送ってい るのです。
この十年間、治療方法も格段に進歩し、治る例も数多くなりました。したがって、死亡 例が少なくなり、長期生存例が多くなったため、患者の実数は年々増えています。むしろ 現在では、原疾患の治療も大切ですが、合併症の高血圧や心疾患、糖尿病等のいわゆる生 活習慣病の早期発見、早期治療も大切となりました。脳卒中や心臓病、感染症で死亡する 例が多くなったのです。腎炎、ネフローゼ、腎不全が重篤で最も多い合併症ですが、やは り早期発見、早期治療、継続治療でコントロール可能となりました。さらには、腎不全で も血液透析療法を回避し「数少ない、治る腎不全である例」もあります。
県内でも医療施設へのアクセスが容易となり、専門医も増えてきました。二、三の専門 医と連絡を取り、ご自分に適した治療体制と生活体制を構築し、病気、病態の早期発見、 早期治療、継続治療をお勧めします。