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うつ病について(2004年9月28日掲載)

城間 清剛(城 間クリニック)

気分転換強要しない

薬服用し十分休養を

こんにちは。今日はうつ病についてお話します。

最近は、仕事や人間関係でのストレスを感じることが多くなり、約7%の人にうつ病を 認めるという報告があります。

みなさんは、つらいことがあった時には気分が落ち込んだりすることがあると思います が、そういう「うつ気分」と、うつ病とは違いがあります。うつ気分の場合は、スポーツ や趣味、余暇活動で気分転換を図ることができ、時間がたつと自然にうつ気分が消えてし まうのが普通です。

これに対して、うつ病は、気持ちが重く沈みこんで、何をやっても楽しさを感じない状 態が二週間以上続く場合をいいます。趣味や余暇活動をするにも「おっくう感」があって 楽しめないばかりか、疲労感やイライラ感が残り気分転換になりません。

そのほかに、さまざまな心と体の不調が表れます。思考力や集中力の低下、悲観的な考 え、必要以上に自分を責める傾向、体のだるさ、疲れやすさ、よく眠れない、食欲がない、 頭が重い、肩が凝る、胸苦しい、胃がもたれる、便秘や下痢―などです。その結果、仕事の 能率が低下してミスが増えたりします。家庭では家事がおろそかになったり、家事をして いても負担感やおっくう感が強く感じられたりして、今まで通りの生活を送ることが難し くなってきます。

うつ病は心の持ちようだとか、性格が弱いせいで、頑張れば何とかなると誤解されるこ とがありますが、そうではありません。うつ病は、脳のホルモンの働きが悪くなるために 起きる病気です。その意味では、血圧や血糖を調節する働きが悪くなって起きる高血圧や 糖尿病などの体の病気と同じと考えてよいでしょう。うつ病の治療に使われる抗うつ薬は、 不調になった脳のホルモンの働きを整えて症状を改善します。

患者さんご本人やご家族の方にはうつ病についてよく理解してもらい、励ましたり気分 転換を無理に勧めたりせず、きちんと薬をのんで十分休養してもらうように説明します。

うつ病やうつ病になりやすい方には、否定的考え方や自分を責める傾向など特徴的な考 え方のクセがみられます。いつも「〜するべきだ」とか「〜しなければならない」と考え て無理をしてしまったり、ささいなミスで、すべてが駄目になったような極端な考え方を して自分を責めたりします。その結果、自分自身を追い詰めて、ますますつらい状況に陥 ってしまいます。うつ病のカウンセリングでは、そのクセに気づいてもらい、心がもっと 楽な考え方や行動のあり方について一緒に考えていきます。

うつ病は大変つらい病気ですが、この病気を通して自分自身を見つめ直す良い機会だと 考えてみてください。その後の人生を、心も体もゆとりのある豊かな生き方に変えること ができれば、病気の経験が前向きに生かされると思います。

つ病で悩まれているご本人やご家族の方は、病気のことを誤解したり悲観したりしな いで、ぜひ心療内科や精神科に相談してみてください。