「目が痛い、首や肩が凝る、腕や手が痛い、腰が痛い」、「イライラする、パソコンを いじっていないと落ち着かない、人と接するのがおっくうだ」…。いつもパソコンを使用 していらっしゃる皆さまに当てはまる症状がありますか?
パソコンを仕事に使用している人々の約九割が身体的疲労を、約四割が精神的疲労(い わゆるテクノストレス・テクノ依存症状)を感じているという調査結果があります。当院 の外来にも、パソコン作業で疲れた顔をした方が多数お見えになります。近年、パソコン の普及はめざましく、パソコン使用人口は増加の一途をたどっています。それに伴い、現 代病としてVDT(画像表示装置)作業による健康障害がクローズアップされています。 今回は、労働衛生的視野から、VDT機器の代表であるパソコンと上手に付き合う方法を 考えてみましょう。
身体的疲労を最小限に抑えるためには、作業環境管理と作業管理が重要です。具体的に は「室内環境・ディスプレイ・入力機器・いすと机・作業スペース・作業時間」などをチ ェックします。室温は冷え過ぎに注意し、外気温との差を五度以内で設定してください。 特に女性は男性より二度ほど寒さに弱いので、夏でもカーディガンやひざ掛けを使用する ことをお勧めします。パソコン画面の位置や明るさはどうですか? 照明や外光が映りこ んでいる場合は、机の位置や画面の角度を見直しましょう。いすは背もたれにもたれるく らい深く座り、足がきちんと着くような高さに調整します。机の下に荷物を置き過ぎ、足 がきちんと入らないと前かがみになりますので気をつけてください。
パソコン画面は軽く見下ろし四十センチ以上離します。一番やっかいで管理が難しいの が作業時間です。作業開始五十分を過ぎるころから、打鍵ミスが急激に増えてきます。筋 骨格の障害は、同じ姿勢で同一筋肉を長時間使い続けることが主な原因ですから、一時間 に十分程度の休憩を取ることが大事です。
しかし、現実には個人個人では取りにくいので、プールでの強制休憩タイムの要領で、 職場全体で「ノンパソタイム」を設けることを提案します。また、パソコン作業時には、 まばたきの数が激減し目が乾燥しやすくなります。涙の減少あるいは質的変化により目の 表面が傷つき「ドライアイ」というやっかいな状態を引き起こします。定期的に涙成分に 近い目薬を点眼することと、空調が直接顔に当たらない事が大切です。
精神的な障害として、テクノストレスやテクノ依存症が問題視されています。周囲の人 とうまくコミュニケーションを取り、ストレスをため込まないように、また、パソコン作 業にのめり込み過ぎないように心がけてください。
紙面の都合で詳細なアドバイスはできませんでしたが、くれぐれもパソコンにこき使わ
れることなく、上手に快適に使いこなし、健康障害を予防したいものです。
(労働衛生コンサルタント)