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関節リウマチ(2004年4月27日掲載)

宮里 均(県立中部病院)

10―20%は数年で治る

初期に骨の変形が急速進行

みなさんは「関節リウマチ」に対しどのようなイメージをお持ちでしょうか。関節が 痛む、高齢者の病気、治らないといったところでしょうか。関節の痛みとよくいわれます が、実際は手足や指関節の痛みだけでなく、体全体の動きにくさ(こわばり)が特徴です。 朝起きた時から数時間は体がこわばって動きにくく、両手、両ひざなどが腫れて痛むとい った状態が数週間にわたり続けばリウマチの可能性があります。

もっとも、リウマチ以外でも、ウイルス感染症などほかの病気でも類似の症状を起こす ことがあるので、自分で「リウマチだ」と決めつけてしまうのはよくありません。病院で 診察を受けましょう。

また、しばしば外来に「検診でリウマチ検査がひっかかった」と来られる方がおります。 これは血液中のリウマチ因子が陽性であったということなのですが、このリウマチ因子陽 性とは、必ずしもリウマチ患者というわけでなく、高齢者や慢性肝疾患、慢性炎症などに よって陽性となるため、関節症状の有無が重要です。逆にリウマチ患者であっても、初期 にはリウマチ因子陰性のことがあり、約10%程度はずっと陰性ということも知られてい ます。結局のところリウマチ因子は検査所見の一つでしかないのです。

日本ではおおよそ人口の0・6%、七十万人前後のリウマチ患者がいるとされており、 高齢化社会に伴いその数は増加傾向にあります。高齢者に多い病気であることは間違いで はありませんが、その発症は三十―五十歳代にピークとなりますが、どの年代においても発 症し、三十歳代以下の発症も珍しくありません。また女性に多く、男性の約四倍とされま す。

果たして治らない病気でしょうか。確かにかぜなどとは違い簡単に治るものではなく、 多くの患者さんが生涯にわたって付き合っていく必要があります。しかし、おおよそ10― 20%程度の患者さんが発症後数年で治る(薬物治療がいらなくなる)ことが知られてお り、また十数年治療を受けていた方でも症状が完全に消失することもあります。

リウマチ治療で重要なことの一つとして、骨の変形は徐々にではなく、最初の二年間で 急速に進行することが知られています。確実な診断がつき次第、早期の治療が重要なので す。現在はDMARDS(疾患装飾性抗リウマチ薬)といわれる薬剤が治療に使用されて います。これは一つの薬の名前ではなく、多くは免疫抑制剤となります。これらの薬剤で は、さまざまな副作用を来すなどその投与には注意が必要ですが、以前の薬剤ではなし得 なかった関節破壊の進行を抑える効果があります。また、リウマチには関節だけでなく肺 病変(繊維症)、眼、腎臓、消化管(アミロイドーシス)など全身にわたって問題を来すこ とがあり、注意深い観察が必要になります。

最後に、リウマチは痛みを伴うつらい病気ですが、落語を聞き大いに笑った人では、そ うでない人と比べ症状の改善がみられる、という報告もあります。痛みにばかりとらわれ ず、できるだけ笑ってみましょう。