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目で゛食べる゛(2004年4月20日掲載)

石川 哲夫(いし かわ眼科クリニック)

3ヵ月に1度検査を

コンタクトの過信禁物

実際に目で物を食べる人は私の知る限りいませんが、実は多くの人が目でいろいろな モノを食べ、自分のものにしています。われわれは食べ物を食べないと動けませんが、「見 る」ことで得られるもの(情報)は、日常生活の八割を占めるといわれています。それだ けに、何のストレスもなく見えていると、目が体の一部だと意識しないことが多く、一度 「見づらい」状況が出てくると、居ても立ってもいられなくなる人が多くなります。

白内障や緑内障、目の奥の病気によって見えにくくなる人、近視や乱視、またはピント 合わせの力が弱まる(いわゆる老眼)ことで不自由を感じる人、疲れ目・乾き目などで頭 痛をはじめ目を開けていられない不快感に悩まされる人、実にいろいろな理由が組み合わ さって見づらい状況が出てきます。

その中でも近視、遠視、乱視や老眼で不便を感じる人は多いかと思います。最近はめが ねだけでなく、コンタクトレンズや手術など、不便を解消する手段がいろいろと選べるよ うになってきました。気軽にできるコンタクトレンズは、小学校高学年のお子さんの間で もかなり使われるようになってきました。

最近のお子さんは「まじめふーじー(風)」を嫌って、めがねは人気がありません。コン タクトレンズの歴史は四十年を越え、子どもたちの親の世代にもコンタクトレンズの愛用 者がずいぶん増えています。「私、使い方が分かるので子どもに教えます」と説明も診察も 面倒くさがり、つべこべ言わず早く売ってほしい、という人に限って、使用方法がめちゃ くちゃだったりします。その親に教えられれば、子どもはそれが普通だと思い゛無法地帯゛ になってしまうわけです。

コンタクトレンズへの過信は禁物です。特に、近視が強いと、めがねよりコンタクトレ ンズがよく見えるため、朝から寝る前までコンタクトを着ける人が多いようです。中には 「時々外します」と言う人や、使い捨てレンズを使い捨てずに使い続ける人もいて、これ には医者も絶句。驚くかもしれませんが、こんな人もいて、取り扱いの約束が守れないと、 コンタクトレンズの今後の使用は不可能となります。

コンタクトレンズに目を「食べられ」ないよう、せめて家の中ではめがねをかけてほし いものです。また、忙しいとは思いますが、少なくとも三カ月に一度はコンタクトレンズ と目の定期検査を受けるよう勧めます。コンタクトレンズはそれくらい、万能ではない医 療用具なので、インターネットで購入したり、時間がないからと、取りあえず売ってくれ るところで購入したりするのは危険です。

めがねやコンタクトレンズを上手に使って、健やかな見え方を保ち、目でいろんなモノ が食べられるよう、かかりつけの眼科医に相談することをお勧めします。