沖縄県医師会 > 健康の話 > うちなー健康歳時記 > うちなー健康歳時記2004年掲載分 > はしかゼロ作戦

はしかゼロ作戦(2004年4月13日掲載)

上原真理子(県 中央保健所)

1歳の接種忘れずに

妊婦は風疹に注意を

はしか(麻疹)は死ぬこともあるような怖い病気だとご存じでしょうか。一九九〇年 から二〇〇一年までの約十年間に、県では四度のはしか流行を経験しました。そのうち最 近二回の流行の結果、九人の乳幼児の尊い命が犠牲となりました。はしかにかかって重症 化したり、死亡した子のほとんどは予防接種を受けていませんでした。けれども一歳未満 児の場合には、はしかの予防接種をすることになっていないので、接種していなくて当た り前です。ですから、一歳になったらすぐ、はしかの予防接種を受けさせることがとても 大事です。

保護者の皆さまには、ご家庭のお子さまがかからないためだけでなく、こういったまだ はしかの予防接種を受ける年齢になっていないお子さまを守ってあげるためにも、ぜひわ が子の予防接種を迅速に受けさせてほしいと思います。

こういった経過を踏まえて、〇一年から「はしか゛ゼロ゛プロジェクト委員会」が、県 小児保健協会、県小児科医会、日本小児科学会沖縄地方会、県医師会により立ち上げられ ました。子どもの予防接種にかかわる多くの職種が参加して議論を重ね、〇一年十一月に は、県知事に六項目の「緊急アピール」を手渡しました。また、予防接種事業を実施する 市町村の首長へも、同様の文書をプロジェクト委員が持参して要請に当たりました。同委 員会では、〇五年までに県内のはしかゼロを目指しますが、95%以上の予防接種率達成 と維持によって、大流行を防ぐことを目的としています。予防接種率を上げるには、何よ り保護者の理解が欠かせません。「一歳のお誕生日にはしかワクチンのプレゼントを!」を 合言葉に、ご家庭のお子さまだけでなく、ご近所・友人に声をかけ、誘い合って接種を受 けることをお勧めしたいと思います。

昨年一月からは、県医師会員等の協力により「はしか全数把握調査」が開始され、これ まで定点医療機関からのみの発生をとらえていた調査に比べ、発生状況の詳細が分かり、 その診断精度も上がってきています。また、どこでも受けられることを希望する保護者の ために、はしかの予防接種に関しての広域化が、離島と北部の一部を除いて実現しました。

一方、昨年九月いっぱいで終了した風疹(ふうしん)の予防接種の経過措置のその後に ついても触れておきます。風疹は、三日はしかとも呼ばれ、はしか(麻疹)と紛らわしい のですが、病気としては軽く、はしかのように大変ではありません。でも、妊婦さんが妊 娠初期に風疹にかかると、先天性風疹症候群(白内障、先天性心臓病、難聴等)の赤ちゃ んが生まれることがあります。

予防接種を受けておいて、妊娠中に風疹にかからなければ、そういった心配はありませ ん。一九七九年から八七年生まれで、風疹の予防接種を受けていない男女は、ぜひ任意で 接種を受けてください。お問い合わせは、各医療機関へ。