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看護学校(2004年4月6日掲載)

山城 千秋(山城整形外科眼科医院)

高まる看護職員の需要

学習環境の充実必要

日本の平均寿命と乳幼児死亡率の低さは、世界第一位であることはご承知のことと思 いますが、それはわが国が「国民皆保険制度」で国民のだれもが、いつでもどこでも平等 に医療を受けられる仕組みによる成果だと思います。

しかもそれにかかる総医療費は、国内総生産との比で先進国の中では低い数字になって います。いきなり固い話になりましたが、すなわち日本は安い医療費で世界第一位の保健 医療効果が上がっているのです。それを支えているのは医師を含めた多くの医療従事者に よるところですが、その中で特に大きなウエートを占める看護職(看護師、准看護師)の 資格を得るための「看護学校」のことについて述べたいと思います。

看護職は、看護師(国家資格)、准看護師(県知事資格)、看護助手(無資格)の三者の 構成からなっており、それぞれ業務内容が区分されております。この構成は、現在の医療 現場においては、最も現実的で効率的だと思います。

さて県内には県立看護大学のほかに、看護師養成校として、受験資格が高校卒業以上で ある学校として、北部地区医師会北部看護学校と、おもと会沖縄看護専門学校があります。 他に県立浦添看護学校や那覇市医師会那覇看護専門学校は、准看護師の免許を取得してさ らに看護師を目指して進学する学校(進学コース)です。那覇市医師会那覇看護専門学校 には、県内では唯一の准看護師を養成するコースがあります。本土復帰直後の一九七三年 に開校して昨年には創立三十周年を迎えました。これまでの卒業生は約三千九百人を数え、 看護師(進学コース)の卒業生約四百八十人を含めると、県内の看護職員の三割は同校の 出身者になります。

少子高齢社会にあって、国民の医療看護へのニーズは多様化しております。医療技術の 高度化に対応するとともに、中身の濃い看護が要求されます。また治療や看護だけでなく 生活の質を高めるための医療が要求されてきました。このような医療、看護の質の向上の ための教育は、准看護師を養成する場においては、大幅な授業時間数の増加や実習病院に おいての臨床実習の充実が図られており、卒業と同時に実践の場で活動できるように養成 されます。准看護師を養成してきた那覇市医師会那覇看護専門学校は、学校の特徴である 働きながら学べるということ、門戸の広さから、受験生は中学卒業生から社会人、主婦に 至るまで多岐にわたります。

こうした年齢層の違う学生を育成し卒業と同時に臨床現場へ送り出すためには、学校設 備の充実による適切な学習環境と、教員・講師陣の熱意努力も必要です。県内では毎年の べ六百四十人の看護師・准看護師が誕生しますが、一方看護職員の数はまだ十分とはいえ ません。医療看護の質の向上とともに、医療安全の確保が叫ばれております。

安全対策の一つにはスタッフの余裕を生み出すマンパワーも必要となり、看護職員の需 要は一層高まります。これからも優秀な人材育成のため、「看護学校」の役割はますます重 要となっています。