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禁煙(2004年3月23日掲載)

門馬康二(モモクリニック)

やめる動機づけが大切

補助剤使用など医師に相談を

喫煙問題は、心臓病・脳血管疾患・がんになりやすいことが発表されてから社会的問 題となり、医療現場でも積極的に禁煙指導に取り組んでから久しい。

日本たばこ産業の調査によると二〇〇〇二年で男性の喫煙率は49・1%、女性が14・ 0%、男女平均30・9%にまで減少してきている。これを前年と比べると百六十二万人 が禁煙したことになる。禁煙の理由として一番多いのは「体調が悪くなったから」という ものであった。

喫煙率が減少してきているのは、たばこの値上がり、自販機の時間規制、学校・医療団 体等の禁煙運動などもあるが、何といっても行政側の動きである指定施設の完全禁煙、分 煙の徹底化などの規制により、国民の禁煙意識が向上していったものと推察している。

このように禁煙意識が強まっているなかで、禁煙をしたいと思っている人には良い条件 が整っていると思う。それは、以前には乏しかったたばこの情報をインターネットで見る こともできるし、禁煙補助製剤のガムは診察なしで薬局で手に入れることが可能になった からである。

この禁煙補助剤のガムやパッチについてふれておくが、市場に出てから既に十年になる。 このガムとパッチはたばこの発がん性の成分を除き、依存性成分であるニコチンだけが含 まれていて、禁煙志望者の禁煙が成功するように作られたものである。たばこからガムや パッチに換え、徐々に使用量を減らしていき、最終的に完全な禁煙へと手助けしていくも のである。

これを使用しての禁煙率は三カ月で約60%、六カ月で35%という結果であった。

禁煙するには動機が大切である。よく「妻が妊娠したのをきっかけに」とか「誕生日を 契機に」などさまざまであるが、「肺がんになったので」と致命的なきっかけの人もおり、 病気になる前に何とかできなかったのかと治療者側としても反省させられることも多々あ った。やめる動機がしっかりしていた場合には禁煙成功率も上がってくる。

以前、私は性格と禁煙率の関係を東大式エゴグラム(自我をみる心理テスト)で調査し たことがあった。積極的で神経が細かなタイプの人は禁煙に思い立ったら成功率が高く、 その逆のタイプは禁煙してもすぐに失敗しやすい。優しく思いやりがあるタイプは禁煙を するが途中で我慢できずに失敗しやすい。

禁煙をこれからしようと思っている人には、禁煙指導をする医師に相談し、動機づけを 強化してもらい、性格的面をうまく読み取ってもらい、禁煙補助剤等を使用するなどして 完全禁煙に向けて頑張っていただきたい。