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糖尿病の食事療法(2013年12月23日掲載)

神谷乗史・中頭病院

朝昼兼用食に注意

医療技術は日々進歩しておりますが、糖尿病患者数は年々増加の傾向が続いています。

国際糖尿病連合は、11月14日の世界糖尿病デーに合わせて、世界の糖尿病に関する最新の調査を発表しました。それによると、日本の現在の成人糖尿病人口は720万人で、昨年の710万人から微増しています。世界ランキングでは第1位の中国(9840万人)、第2位のインド(6507万人)、第3位の米国(2440万人)をはじめ上位7カ国の順位は昨年と同じですが、第8位にドイツ(755万人)が新たに加わり、日本は昨年の9位から10位へと後退しているものの、世界的に高水準であることには変わりありません。

今年の3月には、沖縄県の平均寿命が全国で女性3位、男性30位となり、長寿県転落との記事が掲載されました。その要因は、夜型社会や食の欧米化から生活習慣の乱れにつながりやすい環境が示唆されています。この食生活の問題は、糖尿病治療にも大いに関わりがあります。

栄養学の世界ではセカンドミール・フェノミナン(second meal phenomenon)という言葉があります。これは2回目の食事(昼)後の血糖は1回目の食後(朝)の血糖より低くなる現象です。糖尿病患者では、朝を欠食して1日2食の習慣を長年続けているケースがあります。朝昼兼用食と遅い夕食の2食ながら、3回食の毎回の量に比べると多くなっていることが多いのです。

何が問題かというと、脂肪細胞に蓄積されている遊離脂肪酸(FFA)は、骨格筋と肝臓のインスリン作用を妨害することが知られており、メタボリック症候群におけるインスリン抵抗性の原因の一つと考えられています。

FFAはインスリンの基礎分泌による日内変動があり、朝食前が最も高値となっています。食事を取ってインスリンが追加分泌されると脂肪合成を促進させFFAは低下します。つまりFFA高値が朝昼兼用の食事を摂るまで持続するため、インスリンの効果が弱くなり、食後の血糖は高値になりやすい状態になるのです。

一日の血糖変動幅が大きいと、動脈硬化やその他の糖尿病合併症の発症・進展を増悪させることが試験の結果等で報告されています。

健康寿命を維持するためにも、一日の変動が少なくなるような食生活や食後の運動などの工夫をしてみてはいかがでしょうか?