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ふくよかな閉経後女性へ(2013年11月25日掲載)

宮良球一郎・宮良クリニック

「あ〜あ、今日もまた食べ過ぎてしまった。仕方ない明日から頑張ろう」。そんな繰り返しの毎日で、気づけばもう年の暮れ。ウチアタイしている人はきっとたくさんいるでしょう。なにせアジア一肥満の島ですから。

長寿日本一復活を目指す沖縄は、肥満やメタボリック症候群に危機感をつのらせ、市町村やマスコミを巻き込んで盛んにキャンペーンをしています。体重増はなぜいけないのでしょうか。肝臓、心臓、腎臓に負担をかけることで生活習慣病を引き起こすことは皆知っています。それだけではありません。たった3キロ増えるだけで膝には15キロの負担がかかるそうです。認知症の原因にもなるのです。そして本日の主題である閉経後の「乳がん」も増やしてしまうのです。

乳がんの発生には女性ホルモンが深く関係していることはご存じでしょうが、女性ホルモンはどこで作られているのでしょうか。別名卵巣ホルモンと呼ばれ閉経前は主に卵巣から分泌されます。では閉経した女性はどこから女性ホルモンがつくられるか知っていますか。実は「脂肪」なのです。脂肪の中で男性ホルモンが女性ホルモンに変換するのです。体内脂肪が20%増加すると女性ホルモンは5倍増えるといわれています。つまり太れば太るほど女性ホルモンが増えるのです。ですからふくよかな女性に乳がんが多い理由がなんとなくわかったのではないでしょうか。

乳がんの発生数は年間7万人以上で、この数年で18人に1人から16人に1人、そしてついに14人に1人の割合で乳がんになる時代に突入しました。このままでは、数人に1人が乳がんという日も遠くはないのです。欧米では乳がんは年を重ねるごとに増えていきます。日本で早く欧米化した沖縄が、同様な道をたどることは容易に想像がつきます。ですから昔日本で一番乳がんが少なかった沖縄に戻すには、皮下脂肪を減らすことが肝要なのです。

当院患者勉強会は、まず脂肪を減らす呼吸法を皆でやってから始めています。参考にしているのは浦添市医師会の「アンチエイジング浦添モデル」です。徐々にですが確実に効果が出始めています。自分の減量方法の一つに加え脂肪減を目指しませんか。乳がんや再発予防だけでなく、ついでに、生活習慣病も改善していきますよ。「脂肪」を減らすことは一石二鳥どころか一石四〜五鳥なのです。